【板金塗装の裏側】なぜ下塗り後に「削る」のか?塗装の寿命とツヤを決める職人の研磨技術
更新日:2026/02/10 | 公開日:2026/02/10
街を走る車の、鏡のように輝くボディ。あの美しさは、スプレーを吹く技術だけで作られているわけではありません。実は、板金塗装の工程の8割は「塗る」ことではなく、下塗り後の「削る(研磨)」に費やされているのをご存知でしょうか? この見えない工程こそが、塗装の寿命や、光を歪まずに映し出すツヤを生み出す秘密なのです。今回は、普段お客様の目には触れない、職人のこだわりが詰まった「研磨」の重要性にスポットを当て、なぜ下塗り後に削るのか、その理由と技術を分かりやすく解説します。この記事を読めば、愛車の修理に対する見方が変わるはずです。
下塗り(サフェーサー)の役割と乾燥後の表面状態
サフェーサーの基本的な役割
板金塗装における「下塗り」とは、サフェーサーと呼ばれる塗料を施す工程を指します。このサフェーサーは、単に色を塗る前の準備というだけでなく、最終的な仕上がりの美しさと塗装の耐久性を左右する非常に重要な役割を担っています。主な役割としては、下地の金属部分を錆から守る「防錆効果」、水分が浸透するのを防ぐ「防水効果」、そして上塗り塗料がしっかりと密着するための「接着剤」のような役割があります。さらに、小さな凹凸や傷を埋めて表面を滑らかにし、上塗り塗料の色が下地に影響されないように均一な下地を作る「色むら防止」の役割も果たします。
乾燥後の表面に見られる「課題」
しかし、サフェーサーを塗布した直後の表面は、そのまま上塗り塗装ができる状態ではありません。乾燥後のサフェーサーの表面には、肉眼では分かりにくいものの、微細なザラつきや、わずかな波打ち、小さな気泡による巣穴などが存在します。これは塗料の性質上避けられないもので、もしこの状態で上塗り塗装をしてしまうと、せっかくの美しい塗料も下地の凹凸を拾ってしまい、光沢が失われたり、景色が歪んで映り込んだり、最悪の場合は塗膜の剥がれにもつながってしまいます。このため、サフェーサーの乾燥後には、これらの課題を解消するための次の工程が必要となるのです。

職人の技術①:指先のセンサーで「完全な平面」を作る
下塗り(サフェーサー)を施した後、そのまま上塗り塗装を行うとどうなるでしょうか。実は、サフェーサーの表面は肉眼では捉えにくい微細な凹凸や波打ちがあり、この状態では美しい仕上がりは望めません。そこで必要となるのが、職人の繊細な「研磨」技術です。この工程が、塗装の寿命とツヤを大きく左右するのです。
「面出し」とは何か?
「面出し」とは、サフェーサーを塗布した表面を、完全に平滑な状態に整える研磨作業のことです。この工程の目的は、わずかな凹凸や歪みも残さず、鏡のように滑らかな下地を作り上げること。なぜなら、下地がわずかでも波打っていれば、その上にどんなに優れた塗料を塗っても、光の反射が乱れ、本来の美しいツヤは生まれないからです。面出しは、まさに塗装の「顔」となる部分を形成する、極めて重要な作業と言えるでしょう。
職人の「指先の感覚」が成す技
面出しの工程で最も重要となるのが、職人の「指先の感覚」です。機械による研磨も進化していますが、人間の指先ほど繊細に、そして正確に表面の微細な凹凸を感知できるものはありません。熟練の職人は、研磨ブロック越しにサフェーサーの表面をなでるだけで、肉眼では見えない髪の毛1本分にも満たないわずかな段差や波打ちを正確に感じ取ります。そして、その感覚を頼りに、均一な力加減で研磨を進め、全体の面を完璧な平面へと導いていくのです。このアナログな技術こそが、機械任せでは決して生み出せない、精度の高い仕上がりを実現します。
景色が歪まない鏡面ボディの秘密
完璧に面出しされた下地は、まるで鏡のようです。この平滑な下地があるからこそ、その上に塗られた塗料が光を均一に反射し、深みのある美しいツヤが生まれます。もし下地にわずかな歪みでも残っていれば、完成した塗装面には景色が歪んで映り込み、美しさは半減してしまいます。職人が手間と時間をかけて行う面出しは、単に表面を削る作業ではありません。それは、愛車のボディに空や街並みが歪みなく映り込む、まさに「鏡面ボディ」を実現するための、見えないこだわりと技術の結晶なのです。

職人の技術②:塗料を掴むための「足付け」
前述の「面出し」によってボディの完璧な平面が作られたら、次に行われるのが「足付け」という研磨工程です。この足付けは、これから塗られる上塗り塗料が下地にしっかりと密着し、剥がれやひび割れを防ぐために不可欠な作業となります。
「足付け」とは何か?塗装の密着性を高める鍵
足付けとは、下塗りされたサフェーサーの表面を、特殊な研磨材で微細に傷つけることで、上塗り塗料がしっかりと「掴む」ための準備作業です。もしこの足付けを怠ってしまうと、どんなに高品質な塗料を使っても、塗装面はツルツル滑ってしまい、塗料が定着せずに剥がれやすくなってしまいます。まるで、滑りやすい氷の上を歩くようなもので、塗料が下地にしっかり食い込むための「足場」を作るイメージです。この足付けがあるからこそ、塗料は下地にしっかりと密着し、長期間にわたってその美しさを保つことができるのです。
アンカー効果を生み出す研磨の秘密
足付けの研磨によってサフェーサーの表面に作られるのは、肉眼では見えないほど微細な凹凸です。この凹凸は、塗料が乾燥する際にその溝に入り込み、物理的に「食い込む」ような状態を作り出します。これを「アンカー効果」と呼びます。船の錨(アンカー)が海底に食い込んで船を固定するように、塗料が下地の微細な凹凸に食い込むことで、強固な密着力を生み出すのです。このアンカー効果が不十分だと、わずかな衝撃や経年劣化で塗装が剥がれたり、ひび割れが生じたりするリスクが高まります。
番手の使い分けに見る職人の精密さ
足付けの研磨には、耐水ペーパーと呼ばれる特殊な紙やすりが使用されます。その目の粗さは「番手」という数値で表され、数値が大きいほど目が細かくなります。一般的な足付けでは、#800から#1500程度の非常に細かい番手の耐水ペーパーが使われます。
しかし、単に細かければ良いというわけではありません。塗料の種類やその後の工程、さらには季節や湿度といった環境条件によって、最適な番手は微妙に変化します。熟練の職人は、これらの要素を総合的に判断し、最適な番手を選び分けます。例えば、より密着性を高めたい場合は少し粗めの番手を、非常に繊細な仕上がりが求められる場合はより細かい番手を使うといった具合です。この番手の使い分け一つにも、長年の経験と知識に裏打ちされた職人の精密な技術と判断力が凝縮されているのです。
池内自動車のこだわり:見えない下地こそ丁寧に
「安くて早い」だけではない、池内自動車の哲学

「板金塗装は池内自動車に」と多くのお客様からご支持いただいている理由の一つに、「安くて早い」というコストパフォーマンスの高さがあります。しかし、私たちは単に料金の安さや作業の速さだけを追求しているわけではありません。本当に質の高い板金塗装を提供するためには、お客様の目には見えない「下地処理」こそ、最も重要であると考えています。この見えない部分にこそ時間と手間を惜しまず、徹底的にこだわる姿勢こそが、池内自動車の揺るぎない哲学です。
長く愛される塗装のための「見えない努力」
池内自動車では、下塗り後の研磨工程において、熟練の職人が指先の感覚を研ぎ澄ませ、ミクロン単位の凹凸も見逃しません。例えば、サフェーサーを塗布した後、乾燥状態の確認から研磨番手の選定、そして均一な力加減での「面出し」まで、一切の妥協を許しません。これは、たとえ上塗りの塗膜で隠れてしまう部分であっても、下地が完璧でなければ、数年後の塗装のツヤや耐久性に大きく影響すると知っているからです。お客様の愛車が、修理後も長く美しい輝きを保ち続けるために、私たちは見えない部分にこそ、最大の努力を注ぎ続けています。
まとめ:見えない工程へのこだわりが、最高の仕上がりを生む
研磨が塗装の寿命とツヤを決定づける

これまで見てきたように、板金塗装における下塗り後の「研磨」は、単なる表面を削る作業ではありません。職人の指先の感覚で完璧な平面を作り出す「面出し」と、塗料がしっかりと密着するための「足付け」という二つの繊細な技術が融合することで、塗装本来の美しさと耐久性が生み出されます。この見えない工程へのこだわりこそが、鏡のように光を映し出すツヤと、長期間にわたって色褪せない塗装の寿命を決定づけるのです。
信頼できる業者選びのポイント
愛車の板金塗装を依頼する際、私たちはつい費用や修理期間に目が行きがちです。しかし、本当に高品質な仕上がりを求めるのであれば、見えない下地処理、特に研磨工程へのこだわりを持つ業者を選ぶことが極めて重要です。「安くて早い」をモットーとする池内自動車でも、この見えない部分には一切の妥協をせず、職人の確かな技術で丁寧な作業を行っています。業者を選ぶ際には、単に価格だけでなく、どのような工程で修理を行うのか、特に下地処理について質問してみるのも良いでしょう。
あなたの愛車を長く美しく保つために
今回の記事で、板金塗装における「研磨」の奥深さと重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。愛車を長く、そして美しく保つためには、表面的な仕上がりだけでなく、その下にある職人の確かな技術とこだわりが不可欠です。この知識が、あなたの愛車を最高の状態で維持するための一助となれば幸いです。
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