車の全塗装にかかる費用相場とメリット・デメリット|部分塗装の相場費用も解説
更新日:2024/10/30 | 公開日:2024/10/30
車の塗装には車体全体を塗り直す「全塗装」と特定の部位のみ塗り直す「部分塗装」の2つがあります。塗装は塗る面積が広いほど費用が高くなるため、全塗装よりも部分塗装の方が費用は安い傾向です。
そこで本記事では、車の全塗装と部分塗装について、相場などを比較してまとめました。車の塗装剥がれにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
車の全塗装の概要

車の全塗装とは、文字通り車全体の塗装部分を全て塗り直すことです。
車は経年により劣化し、色あせや塗装の剥がれなどが生じます。特に車が直射日光や風雨に晒されていたり、車のメンテナンスがおろそかになっていたりする場合、外装の劣化は速く進む傾向です。
全塗装を施すことで、外観がきれいになるだけでなく、車の保護機能が向上するため、車体を守ることにもつながります。
車の全塗装が増加している背景
近年では、車の全塗装を行う方が増えているといわれています。車の全塗装が増加している背景として、車に乗る年数が長くなっていることが挙げられます。
一般財団法人 自動車検査登録情報会の資料によると、令和3年3月末の乗用車の平均使用年数は13.87年で、前年より0.36年延びました。平均使用年数は2021年まで6年連続で延びており、10年前の2011年と比較すると1.44年延びています(※)。
一台の車に長く乗る方が多い時代だからこそ、全塗装で外観のメンテナンスをする人の増加につながっていると考えられます。
※参考:一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向(車種別の平均使用年数推移表(令和3年))」.“平均使用年数”.
https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000wkpt-att/r5c6pv000000wkq8.pdf ,(参照2024-10-11).
全塗装とフルラッピングの違い
車体の色を変える方法には、全塗装の他にフルラッピングがあります。
全塗装とフルラッピングの違いは、全塗装が塗料で塗り直す方法なのに対して、フルラッピングは塗装には手を加えず、上から車体全体をフィルムで覆う手法をとる点です。
フルラッピングは個性的な色やデザインも簡単に表現でき、フィルムを剥がせば元の状態に戻る手軽さが魅力ですが、耐久性は低いとされています。車の使用環境にもよりますが、フィルムの寿命は1〜3年程度です。また、費用は全塗装と同等か、全塗装より高くなることもあります。
全塗装にかかる期間は3週間〜1カ月週間が目安
全塗装にかかる期間は3週間〜1カ月が目安です。全塗装といってもパーツを外さずマスキングをして塗装する方法、取り外し可能なパーツのみ外して塗装する方法、パーツを全て取り外して塗装する方法で工数が異なるため期間が変わります。工数が増えるほど全塗装にかかる期間は長くなり、パーツを全て外して塗装する方法の場合などは、数カ月を要することもあるようです。
全塗装すると買取査定額が下がる可能性が高い
車を全塗装すると、見た目がきれいになる一方で、買い取り時の査定額は下がる可能性があります。これは、製造段階の塗装と比べて品質が劣ると判断されたり、オリジナルの塗装と比べて経年劣化が早いと見られたりするためです。特に、あまり一般的ではない色で全塗装した場合は買い手が付きにくく、買い取り不可になるかもしれません。
全塗装を検討する際は、見た目の美しさだけでなく、将来的な売却も視野に入れ、費用対効果をしっかりと見極めることが大切です。
車の全塗装の費用相場

全塗装の費用相場は20〜50万円程度です。ただし、車種や塗装の内容によっても費用は変わり、高い場合は70万円を超えることもあります。費用に関わる主な要因は次の通りです。
- 車種
- 塗料
- 工程
- 修理
それぞれの要因を解説します。
1. 車種による違い
1つ目の要因は、車種による違いです。車種によって塗装面積が異なるため、車のサイズごとに値段を設定している業者が多くあります。
車のサイズ | 全塗装費用 |
小型車(軽自動車、コンパクトカーなど) | 20万円〜 |
中型車(SUV、セダンなど) | 30万円〜 |
大型車(ミニバン、ワンボックスなど) | 35万円〜 |
2. 塗料による違い
2つ目は、塗料による違いです。以下、全塗装に使用される主な塗料の特徴を紹介します。
塗料の種類 | 特徴 |
ソリッド塗装 | パールが含まれない単一の色 |
メタリック塗装 | ・アルミ顔料が含まれ、光に反射して輝く・光の反射により傷や汚れが目立ちにくい |
マイカ塗装 | ・メタリック塗装の一種・柔らかく控えめな輝き・雲母(マイカ)という鉱物が含まれている |
パール塗装 | ・パールのような色合いと輝きで高級感がある・マイカ塗装よりも細かい雲母の粉末が含まれる |
マジョーラ塗装 | 5層構造で見る角度や光の当たり方によりオーロラのような輝きがある |
キャンディー塗装 | 飴のような透明感のある輝きがある塗料 |
クリア塗装 | ・仕上げに使用する・ツヤ出し効果がある |
塗料の価格は、種類によって大きく異なります。例えばソリッド塗装は塗装工程がシンプルで、他の塗料と比較すると施工費用は安い傾向にあります。一方、パール塗料は比較的高額で、施工費用も高くなりやすいようです。
3. 工数による違い
3つ目は、工数による違いです。全塗装の費用で大きく占めるのは人件費です。全塗装は作業時間が多くかかる修理のため、費用がかさみやすいと言えるでしょう。
全塗装の代表的な方法は、以下の3つです。
- 部品を外さず塗装する方法
- 取り外せる部品のみを外して塗装する方法
- 全てのパーツを取り外して塗装する方法
取り外す部品が多いほど、作業に時間がかかるため費用が高くなります。また、下地処理や塗装の手順によっても工数が変わるため費用に差が出ます。
4. 修理工程の有無による違い
最後が、修理工程の有無による違いです。例えば塗装部分にへこみ・傷・サビがあると、全塗装の仕上がりを高めるために事前に修理が必要となるケースがあります。この場合、全塗装の費用に加えて修理費用が発生するため、トータルの費用が高くなります。
なお修理費用は修理を依頼する業者や、へこみ・傷・サビの度合いによって大きく異なるため、注意しましょう。
車の全塗装のメリット・デメリット

車の全塗装にはメリットとデメリットがあります。全塗装を検討している方は、以下のメリット・デメリットを押さえた上で、全塗装するかどうかを検討してください。
メリット1. 外観がきれいになる
塗装は経年劣化によって光沢が失われ、色あせが起こります。そこで全塗装をすると、新車のような光沢や色合いを取り戻すことが可能です。また、塗装の剥がれ・外装の傷・サビなども解消され、外観が美しくなります。
メリット2. 好みの色に変えられる
購入当時の流行りの色や、好きだった色も、年数がたつとトレンドや好みが変わることがあります。
車を全塗装すれば、同じ色に塗り直すのはもちろん、好みの色に変えることも可能です。そのため、車を買い替えることなく、別の車に乗り換えたような新鮮な気持ちになれるかもしれません。
またカスタムカラーを選んだり、デザインを加えたりすれば、個性的な車に仕上げることも可能です。
メリット3. 愛車に乗り続けられる
全塗装によって車の保護機能が回復すれば、思い入れのある車に乗り続けることが可能です。車の塗装には車体を紫外線・風雨・塩害などから守る役割があります。そのため、適切なタイミングで全塗装することで、車体のサビや腐蝕の予防にもつながるでしょう。
デリット1. 買取査定額が下がる可能性が高い
全塗装をすると、売却時の買取査定額が下がる可能性が高くなります。仕上がりにムラや不均一が生じていると劣化していると判断されたり、耐久性がないと判断されたりするリスクがあるためです。
デリット2. 経済的な負担が大きい
全塗装は、施工費用が高いため経済的な負担が大きい修理です。安い塗料を選んだり、工数を少なくしたりすると価格は抑えられますが、納得できる仕上がりにならないこともあります。費用と質を総合的に判断して、全塗装を行うかどうかを決めることが大切です。
デリット3. 作業が終わるまで車に乗れない
全塗装は一般的に、3週間〜1カ月程度かかります。工数が多い場合はさらに日数がかかるケースもあり、作業が終わるまでは車に乗れません。代車を借りたり、公共交通機関を利用したりするなど別の移動手段を考えておく必要があります。
車の全塗装の検討が必要なケースとは?
ここからは、全塗装の検討が必要なケースを紹介します。
車体に塗装の剥がれや傷があるとき
塗装の剥がれや傷はサビの原因になり、進行すると修理に多額の費用が必要になる可能性があります。
部分的な塗装の剥がれや傷であれば、部分塗装で修理が可能です。しかし、損傷箇所が多いケースや損傷箇所同士が離れているケースは部分塗装では仕上がりにムラができたり、費用が高くなったりするかもしれません。そのため、部分塗装よりも全塗装の方が適している可能性があります。
自分好みの車にしたいとき
車の色に飽きたときや中古車で好みの色が買えなかったときなどに、自分好みの車にするために全塗装を検討することがあります。場合によっては、限定色に近付けることも可能でしょう。
塗装の色あせや光沢がなくなったとき
車の塗装は経年劣化により色あせや光沢がなくなります。また、紫外線や風雨、塩害などの環境要因によって劣化が進みやすくなるケースもあるでしょう。塗装が劣化すると全体的な車の印象を損なうことにつながるため、外観の美しさを取り戻したい場合は、全塗装を検討することがあります。
塗装が剥がれやすい車の部位について
塗装が剥がれやすい部分は、環境によるダメージを受けやすい部位や傷が付きやすい部位です。具体的な部位を解説します。
環境によるダメージを受けやすい部位
車のボンネットやルーフは紫外線・風雨・塩害などのダメージを受けやすく、塗装が剥がれやすい部位です。また、バンパーやドアミラーなどの樹脂パーツは環境要因に弱く、塗装剥がれが起きやすい傾向にあります。
傷が付きやすい部位
車の下部は、走行中に傷付きやすいです。具体的には以下のような部分があります。
- サイドシル
- フェンダーライン
- フロントバンパーやリアバンパーの下側
傷を放置していると、傷の周囲から塗装が剥がれることがあります。
部分塗装の費用相場
全塗装をするほどの傷の広がりではない場合には、部分塗装を検討する方もいるでしょう。部分塗装の費用相場は、以下の通りです。
部位 | 費用相場 |
ボンネット | 5万円〜 |
バンパー | 4万円〜 |
ドア | 6万円〜 |
部分塗装は塗装するパーツ数にもよりますが、全塗装よりも修理費用が低価格で施工できます。将来的に車の買い替えを検討している方にもおすすめです。
なお部分塗装の場合も、車体の状態や使用する塗料、塗装方法によって、費用が変わります。
まとめ:車の全塗装は業者選びが重要
車の全塗装を施すメリットは、新車のような色合いや光沢を取り戻せることです。車は部品だけでなく、塗装も経年により劣化します。近年、車の平均使用年数は増加傾向です。愛車に長く乗るため、全塗装を検討する方もいるようです。
全塗装はディーラー・板金工場・カー用品店・ガソリンスタンドに依頼できます。サービス内容や料金は業者によって異なるため、複数の業者から見積りを取り、よく比較してから修理を受けるところを決めましょう。
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