車の塗装下地が見える原因と対処法|失敗しない修理方法と業者選びを解説
更新日:2024/10/30 | 公開日:2024/10/30
車の塗装下地が見えると外観の印象が悪くなるだけでなく、車体にさびが広がる恐れもあるため早めの対処が必要です。浅い傷であれば、市販の傷消し剤で補修できる可能性もあります。市販の傷消し剤は、傷の種類や程度に合わせて正しい使い方で使用することが大切です。
本記事では、車の塗装下地が見えてしまう原因と失敗しない対処法について解説します。
車の塗装下地が見えてしまう原因は?
車に傷が付くと塗装が剥がれ、下地が見えることがあります。単に大きな障害物にぶつかった場合だけでなく、飛び石による小さな傷や経年劣化による影響も、塗装下地が見える原因となります。どんなに気を付けていても、これを完全に防ぐのは難しいでしょう。ここでは、車の塗装下地が見えてしまう原因を6つ解説します。
障害物への衝突
駐車するときや狭い道を通行するときには、壁や電柱、縁石といった障害物にうっかりぶつかることがあります。このような衝突は車体に傷やへこみを生じさせ、塗装が剥がれる原因となります。障害物にぶつかったことによる傷を放置していると、塗装の下で腐食が発生する場合もあるため、早めの対処が必要です。
飛び石
飛び石とは、前方を走る車や自身の車がタイヤによって道路上の小石を巻き上げてしまう現象です。飛び石が車体に当たることで、細かい傷が付くことがあります。特に高速道路や未舗装道路では、このリスクが高まります。飛び石によってできる傷は目立たないこともありますが、長期間放置すると、さびの原因になるため注意しましょう。
草木
道路の路肩や細い道を走行しているときに、車体が草木に触れ、車の表面にこすれたような細かい傷が付いてしまうことがあります。都市部や広い道路を走行することが多い場合でも、駐車場などで植木に触れてしまうことがあります。
洗車
不適切な洗車も塗装を傷付ける主な原因の一つです。車の外装には空気中の汚れや砂、鉄粉など小さな汚れが付着しています。洗車前に水で流さずスポンジやタオルでこすると、これらの汚れによる摩擦で傷が付くことがあります。
また洗車に使用するタオルやスポンジの質も重要です。硬すぎるものや、汚れたままのものを使用すると、塗装面に傷が付きやすくなります。
鍵やかばんが当たる
日常生活の中で無意識に発生させてしまう傷に、鍵やかばんが原因となるものがあります。例えば、ドアを開閉する際に鍵が車体に当たったり、車の横を通る際にかばんが接触したりすることで、塗装面に傷が付く可能性があります。これらの傷は小さいものの、傷の深さによっては塗装が剥がれ、下地が露出してしまう原因になるでしょう。
経年劣化
時間の経過とともに、車の塗装は紫外線や雨水などの影響を受け、徐々に劣化していきます。劣化により、塗装の色が褪せたり粉を吹いたような状態になったりして、下地が露出することがあります。
車の塗装下地が見えている状態において想定されるリスク
傷の中には、車に近付いてよく見ないと気付かないものもあります。薄い傷や細かい傷は放置している方もいるでしょう。しかし、車の塗装下地が見えている状態を放置していると、外観の印象が悪くなるだけでなく、次のようなリスクにもつながります。
- 保護機能が低下する
- さびが広がる
- 修理費用が高くなる
小さな傷でも放置すると傷が悪化する恐れがあるため、できるだけ早く修理しましょう。
保護機能が低下する
車体は金属でできており、水分に弱いという特徴があります。また、紫外線や風雨も車体を劣化させる要因です。塗装には見た目を美しくするだけでなく、車体を劣化の要因から守る保護機能の役割もあります。塗装が剥げて下地が見えている状態では保護機能が低下し、車体の劣化を早める恐れがあります。
さびが広がる
塗装には防さび効果があります。しかし、塗装が剥がれ下地が見えている部分は防さび効果がないため、金属でできている車体にさびが発生しやすくなります。放置しているとさびが次第に車全体に広がっていくため注意しましょう。
修理費用が高くなる
車の傷は小さければ修復は容易ですが、放置して塗装が剥がれ、さびが広がってくると大規模な修理が必要となり、修理費用が高くなります。傷が小さいうちに補修することが大切です。
車の塗装下地が見えている状態を自分で修理することは可能?

塗装下地が見えている状態となっていても、薄く細かい傷や狭い範囲の傷は自分で修理することも可能です。自分で修理することには、費用を抑えられる、好きな時間に作業できるといったメリットがあります。
カー用品店では、さまざまな種類の傷消し剤が販売されています。補修したい範囲や傷の深さなど状態に適した傷消し剤を選ぶことが大切です。ここでは代表的な傷消し剤4種類の特徴と修理方法を解説します。
コンパウンド
コンパウンドでの補修が適している傷は、洗車傷のように遠くからでは見えないものの、車に近付くと見える薄くて細かい傷です。研磨作用のある薬剤で傷のある部分を削り取ることで周囲との段差をなくし、傷を目立ちにくくします。
研磨剤の粒子は大きく分けて4種類あり、粒子が大きい順に粗目・細目・極細目・艶出しと呼ばれます。粒子が大きいほど、削り取る作用が強くなることが特徴です。
必要な道具
作業に必要な道具は次の通りです。
- コンパウンド
- スポンジ
- 柔らかい布
- マスキングテープやビニール
作業手順
作業手順を解説します。
- 洗車で車体に付着した汚れを落とします。
- コンパウンドの薬剤は、樹脂やゴムを劣化させるため、マスキングテープやビニールで養生し、塗装部分以外に薬剤が付かないようにします。
- スポンジを水でぬらし、固く絞ります。
- スポンジに粒子の細かいコンパウンドを少量付けて傷をこすります。傷に変化がなければ一段階粒子の粗いコンパウンドに変え、傷に変化が見られたらコンパウンドを傷と傷周辺に付けて磨きます。
- 柔らかい布でコンパウンドを拭き取り、状態を確認します。傷が目立たなければ目の細かいコンパウンドで仕上げ磨きします。
- コンパウンドを拭き取り、磨いた部分を洗い流したら完了です。
最初に洗車を行う理由は、車体に汚れが付着していると、コンパウンドで磨く際に巻き込んで傷を悪化させることがあるためです。コンパウンドは、粒子の細かいものから試すと、余計な傷が付きにくくなります。
傷消しワックス
傷消しワックスが適している傷は、ドアノブの周りやドアミラーカバーなど、飛び石やかばん・鍵が当たってできる細かいすり傷です。
傷消しワックスには、研磨剤が含まれているタイプと研磨剤を含まないタイプがあります。研磨剤が含まれるタイプは、塗装を削り取り、周囲との段差をなくすことで傷を目立ちにくくします。塗装を削るため、ワックスが落ちても傷が目立ちにくいところが特徴です。研磨剤が含まれないタイプは、ワックスの成分で傷を埋めて目立ちにくくさせます。ワックスが落ちると傷は再び目立つようになります。
必要な道具
作業に必要な道具は次の通りです。
- ワックス
- スポンジ
- 柔らかい布
作業手順
作業手順を解説します。
- 洗車で車体に付着した汚れを落とします。
- 水にぬらしたスポンジを固く絞り、ワックスを付けて補修したい部分を拭きます。
- 柔らかい布でワックスを拭き取り完了です。
なお、ワックスは一回に付ける量が多いとムラになりやすいので、少量を薄く伸ばしながら使いましょう。
タッチペン
タッチペンが適している傷は、狭い範囲の線傷や引っかき傷です。ペンで傷に車体と同じ色を塗ることで、傷を目立ちにくくします。仕上がりのレベルはそれほど高くなく、少しでも傷が隠せれば良いケースにおすすめです。
使い方は簡単ですが、傷にペンで色付けするだけでは塗った部分が目立ち、隠すつもりが反対に傷を目立たせることがあります。さび落としで下処理したり、タッチペンで補修した後に目の細かいコンパウンドで仕上げ磨きをしたりするときれいに仕上がります。
必要な道具
作業に必要な道具は次の通りです。
- タッチペン
- マスキングテープ
- 耐水ペーパー
- コンパウンド
作業手順
作業手順を解説します。
- 洗車で車体に付着した汚れを落とします。
- 補修する場所以外に塗料が付かないよう、周辺をマスキングテープで養生します。
- タッチペンで点を打つように傷に塗料を埋めていきます。
- 乾燥させます。
- タッチペンで塗ります。
- 4と5の手順を塗料が周辺より盛り上がるまで繰り返し行います。
- 一週間程度自然乾燥させます。
- 耐水ペーパーで補修した部分と周辺が平らになるまで削ります。
- コンパウンドで磨いて完了です。
スプレー
スプレーが適している傷は、線傷や引っかき傷です。スプレーは広がりが良いため広範囲の補修に便利です。手間はかかりますが、離れると目立たないレベルまで傷を目立ちにくくできます。
必要な道具
作業に必要な道具は次の通りです。
- スプレー(下地、塗料、仕上げ)
- マスキングテープ
- 耐水ペーパー
- コンパウンド
作業手順
作業手順を解説します。
- 洗車で車体に付着した汚れを落とします。
- 傷に耐水ペーパーをかけ、表面をなめらかにします。
- 補修したい部分以外に塗料が付かないようマスキングテープで養生します。
- 下地用スプレーを吹きかけ、乾かします。
- 少し離れた位置(6〜10cmが目安)から傷に平行に塗料スプレーを吹きかけます。一度に塗るとムラができやすいので薄く数回に分けて塗りましょう。
- 傷が目立たなくなったら乾燥させてから仕上げ用スプレーを吹きかけます。
- マスキングテープを剥がして乾燥させます。
- コンパウンドで磨いて完了です。
下地作りをせず塗料スプレーを吹きかけると、乾いた後でひび割れができる恐れがあります。下地用スプレーも忘れずに塗りましょう。
自分で修理するときはやりすぎに注意
ご紹介したように、市販の傷消し剤にはさまざまな種類がありますが、全ての傷が消せるわけではありません。やりすぎると傷を悪化させる恐れがあるため、消せない傷を無理に補修するのは逆効果になる恐れがあります。
なお、自分で補修できる傷は浅い傷です。車の塗装は内側から下地・カラー塗装・クリア層の順に層になっており、浅い傷の目安はクリア層にとどまる傷のことです。
下地が見える場合でもスプレーで補修できるケースはありますが、へこみがある場合やさびが生じている場合は自分で補修するのは困難なため、業者に依頼してください。
車の塗装下地が見えている状態の修理はどこに依頼する?

車の塗装下地が見えている状態で、業者に修理を依頼する場合は、ディーラー・整備工場・カー用品店・板金塗装専門店に相談してみましょう。
特におすすめの業者が、板金塗装専門店です。板金塗装専門店は車のドアやボンネットなどの傷や塗装剥がれ、劣化などの修復と塗装を専門に行っています。板金塗装業者に依頼するメリットは、板金の専門業者のため、メーカーや車種を問わず高い技術力で難易度の高い修復にも対応してくれるところです。
また、ディーラーでは純正品で修理するため材料費が高くなったり、下請け業者へ外注する場合は手数料が発生したりするため、修理費用が高くなる傾向があります。一方、板金塗装専門店は自社で受付から修理まで行うため、費用対効果が高いことが特徴です。
ただし、板金塗装専門店の場合、作業するスタッフの技術力により仕上がりに差が出る可能性があります。公式サイトや評判、利用者の口コミなどを参考に、安心して依頼できる業者を見付けることが大切です。
まとめ:車の塗装下地が見えるときは放置せず早めに修理しよう
車の塗装が傷や劣化により剥がれて塗装下地が見えるときは早めの修理が大切です。放置すると傷が悪化して塗装剥がれが大きくなったり、雨水が浸水してさびが広がったりする恐れがあります。小さな傷であれば自分で補修できますが、車体へのダメージが大きくなると、業者へ修理の依頼が必要です。
業者に修理を依頼する場合、おすすめなのが板金塗装専門店です。
板金塗装専門店である池内自動車では、関東を中心に車の傷やへこみ修理・板金塗装を行っています。年中無休で9〜20時まで営業することで入庫台数を増やし、1件当たりの費用を抑えています。バンパーすり傷修理であれば、3,300円(税込)から対応可能です。修理を検討している方はぜひ池内自動車にご相談ください。
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