車の塗装前に下地処理は必要? 重要性や下地処理の方法、依頼先を解説
更新日:2024/10/30 | 公開日:2024/10/30
車の塗装を行う前は、車の傷やほこりを除去する下地処理を行うことが一般的です。もし塗装前に下地処理を行わないとコーティング剤との密着度が悪くなり、仕上がりに大きな影響を及ぼします。しかし下地処理の目的や手順などが分からない方もいるでしょう。
そこで本記事では、車の塗装前に行う下地処理の重要性や下地処理の方法を解説します。下地処理を依頼できる場所も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
塗装前の下地処理の重要性

車の塗装は、退色や変色した車の塗装を蘇らせることや、車の美しさを保つために欠かせないものです。ただし車の塗装の効果を最大限に発揮させるには、塗装前の下地処理が重要となります。
以下では、下地処理の内容や重要性、下地処理を行わないと起こり得るリスクについて解説します。
そもそも下地処理とは?
下地処理とは、車の塗装前に車の表面をきれいに整える作業のことです。具体的には、鉄分除去や研磨、脱脂、洗車などの作業が挙げられます。これらの作業を塗装前に行うことで、塗装剤との密着性が上がり、きれいに仕上げることが可能です。その他にもコーティングにムラが出にくかったり、コーティングの持ちが長くなったりするメリットもあります。
また車にどのような塗装を施すかによって、下地処理の方法や難易度が変わります。ポリマーコーティング(フッ素やシリコンなどの高分子化合物を主成分とするコーティング剤)であれば、基本的な洗車と鉄分除去、研磨などを行えば問題ないため、自分でも下地処理を行えるでしょう。しかしガラスコーティング(有機系溶剤を含まないガラス成分のコーティング剤)やセラミックコーティング(金属や酸素、窒素、炭素の化合物を主成分としたコーティング剤)の場合は、下地処理に技術力や精度が求められるため、自分で行うよりも業者に依頼した方が良いと考えられます。
下地処理を行わないリスク
基本的には新車から時間がたった車や、中古車などは事故などをしていない場合でも、雨や風、日差しなどの影響を受けて徐々に塗装は劣化していきます。もし、下地処理を行わないでそのまま塗装をしてしまうと、車の表面に付着した汚れや傷などを閉じ込めた状態になってしまうため、きれいな仕上がりにはなりません。塗装にムラが出てしまったり、コーティングの持続期間も短くなってしまったりするため、塗装前の下地処理は重要な作業となっています。
塗装前の下地処理を自分で行う際に必要な道具と手順を紹介

塗装前の下地処理を自分で行う際は、まず以下の道具を用意しましょう。
- カーシャンプー
- スポンジ
- 鉄粉除去剤
- 粘土クリーナー
- 水垢除去剤
- マイクロファイバークロス
- イオンデポジット除去剤
- コンパウンド
- 脱脂剤
これらを用意しておけば、スムーズに下地処理を行えます。
次に実際の手順をご紹介します。
STEP1:車を洗車する
まずは、車の洗車から行っていきましょう。見た目はきれいでも細かい汚れやほこりなどが付着しているため、除去することから始めます。水で全体的に洗い流した後に、カーシャンプーを使って十分に泡立ててからスポンジなどで洗車します。あまり強く擦るとボディが傷ついてしまう場合もあるため、優しく擦り洗いをすることが重要です。
またカーシャンプーには、中性・弱アルカリ性・弱酸性の主に3種類あり、それぞれ特徴が異なります。車の下地処理を行う際は、基本的には弱アルカリ性のカーシャンプーを使うと良いでしょう。弱アルカリ性は洗浄力が強く、サビを予防できる特徴があります。ボディや窓にできたイオンデポジット(白いリング状の水垢)を除去したい場合は、弱酸性のカーシャンプーの使用も可能ですが、水で完全に洗剤を洗い落とさないと塗装面が酸焼けしてしまうリスクもあるため、注意しましょう。
STEP2:車のボディの鉄分と水垢を除去する
車の洗車が終わったら、鉄分と水垢の除去をしていきます。洗車後の車の表面を触ってザラザラする部分があれば、鉄分が付着している可能性が高いため、鉄粉除去剤を使用して、鉄分を除去していきましょう。鉄粉除去剤をボディに掛けると、鉄分が化学反応を起こし変色するため、それを粘土クリーナーなどで取り除いてください。鉄分を取り除いたら、再度水でボディを洗い流します。
次に水垢も除去していきましょう。頑固な水垢は洗車などでは落ちないケースもあるため、専用の洗剤を使用して取り除く必要があります。水垢は特にドアミラーやバンパー付近に付着しやすいとされているため、スポンジなどを使用して丁寧に取り除き、最後は水で洗い流しましょう。
STEP3:イオンデポジットを除去する
続いて、イオンデポジットを除去していきます。イオンデポジットの場合は、洗車や水垢除去剤を使用しても落ちないケースが多いため、イオンデポジット専用の除去剤を使用します。除去剤をマイクロファイバークロスに染み込ませて、優しく擦れば簡単に落とすことが可能です。
STEP4:コンパウンドでボディを研磨する
イオンデポジット除去剤でも落ちなかった場合は、イオンデポジットが悪化したウォーターデポジットの可能性が高いです。ウォーターデポジットは車の塗装内に浸透してしまっている可能性が高いため、コンパウンドと呼ばれる研磨剤を使用して、取り除いていきます。
コンパウンドには、ペースト状のものや液体状のものなどがあり、一部や細かい部分に使う際はペースト状のもので、広範囲に使う場合は液体状の物を選ぶと良いでしょう。コンパウンドでボディの研磨が完了したら、水で車を洗い流してください。
STEP5:車のボディの脱脂をする
最後に、車のボディに残った油分を取り除いていきます。この脱脂作業をするかしないかでコーティングの完成度に大きく影響するため、丁寧に行っていきましょう。
脱脂剤をマイクロファイバークロスなどに染み込ませて、ボディに満遍なく塗ります。塗り終わったら、乾いたマイクロファイバークロスで脱脂剤を拭き取ってください。これで、塗装前の下地処理は完了です。
下地処理において注意すべきポイント

前述の塗装前の下地処理を行う際に注意すべきポイントは、以下の通りです。
- 車のボディの傷や汚れは完璧に取り除く
- 正しく薬剤を使用する
車を塗装する上で、車のボディに傷や汚れなどが残っていると、コーティング剤との密着性が損なわれてしまいます。もし傷や汚れが残った状態で塗装してしまうと、仕上がりや効果の持続期間にも影響が出て、最悪の場合やり直しのリスクもあるため、注意が必要です。
また下地処理を行う際は、さまざまな薬剤を使用します。車の状態によっては、薬剤を使い分けなければいけない場合も出てくるでしょう。特にコンパウンドには、粗目から超微粒子まで種類が豊富にあり、誤ったコンパウンドを使用すると車を大きく傷付けてしまう恐れがあります。
下地処理に自信がない方や、細かい作業が苦手で手間をかけたくない方などは、プロの業者に依頼しましょう。
車の塗装前の下地処理や塗装に対応しているところは?

車の塗装前の下地処理や塗装などは、以下のような業者で対応可能です。
- 板金塗装専門店
- ディーラー
- 民間の整備工場
- カー用品店
それぞれの業者の特徴を確認していきましょう。
板金塗装専門店
板金塗装専門店とは、車の塗装や下地処理などを専門的に行う業者です。それらの業務に特化している分、他の業者と比べると高品質な仕上がりが期待できます。
費用は依頼する業者により異なりますが、ディーラーなどに依頼するよりも安く済む場合があるようです。費用を抑えつつも専門的な技術を持った業者に依頼したい方には、板金塗装専門店の利用がおすすめです。
ディーラー
ディーラーでも車の塗装前の下地処理や塗装を行えます。ディーラーの場合はメーカーや車種を熟知しており、専門的な知識を持つ人が多いという特徴があります。さらに塗装の際に全て純正品で対応してもらえる点は大きなメリットです。
しかし、他の業者に依頼するよりも費用面では割高になる可能性があります。また、ディーラーによっては、自社工場を所有しておらず外部に委託して下地処理や塗装を行うケースもあるため、依頼する前に確認しましょう。
民間の整備工場
民間の整備工場へ依頼する方法もあります。民間の整備工場は、直接依頼すれば中間マージンの支払いも必要ないため、費用が比較的安く済むでしょう。
しかし民間の整備工場では、整備士資格などは有していない人も働けることから、下地処理や塗装技術は業者により差が出る場合があります。そのため、良い業者を探すのに時間と手間がかかる点はデメリットとなるでしょう。
カー用品店
カー用品店も民間の整備工場と同様に、比較的リーズナブルな価格で依頼可能です。整備工場を併設しているケースもあり、迅速に対応してくれる点はメリットでしょう。
注意点としては、全てのカー用品店が下地処理や塗装に対応しているわけではないことです。車の状態によっては対応を断られるケースもあるため、依頼する前に問い合わせてみましょう。
まとめ:車の塗装前には下地処理が重要! 仕上がりを重視するなら業者への依頼がおすすめ
車を塗装する前は、車に付着している傷や汚れなどをきれいに取り除く下地処理が重要です。下地処理を行わないまま塗装をしてしまうと、コーティング剤との密着度が下がり完成度に大きく影響します。下地処理は自分でも対応可能ですが、手間や時間がかかる点や仕上がりにムラが出やすい点を考慮すると、業者に依頼した方が良いでしょう。
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