車の調色(色合わせ)とは?塗料を混ぜて元の色に近づける仕組み
更新日:2026/08/24 | 公開日:2026/08/23
車を修理して塗り直すとき、缶に入った塗料をそのまま塗っているわけではありません。実際には、色番号どおりの塗料を用意したうえで、実車と見比べながら別の色を少しずつ混ぜて調整しています。この作業を「調色」と呼びます。
なぜそんな手間が必要なのか。同じ色番号の塗料を使えば同じ色になるはずなのに、と思われるかもしれません。
この記事では、調色という工程が何をしているのか、そしてなぜ必要なのかを、業界の実情を含めて説明します。仕組みがわかると、修理の見積もりで塗装代がどう決まっているのかも理解しやすくなります。
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車の色は「色番号」で管理されている
自動車メーカーは、車体の色ごとに固有の番号を割り振っています。カラーコード、あるいは色番号と呼ばれるものです。
この番号は車体に貼られたプレートに記載されています。場所は車種によって違いますが、次のあたりにあることが多いです。
- 運転席のドアを開けた柱の部分
- エンジンルーム内の壁面
- トランク内側
- 助手席のドアを開けた柱の部分
プレートには車台番号やタイヤの空気圧など複数の情報が書かれています。色番号は「COLOR」「カラー」といった表記の横にある英数字です。
修理を依頼するときにこの番号を伝えておくと、塗料の準備がスムーズになります。
色番号どおりに塗ると、なぜ合わないのか

色番号は「元の色」を指すものです。しかし修理で合わせたいのは「いま隣に付いている塗装の色」です。この二つは、次の理由でずれていきます。
紫外線による色の変化
塗装は屋外で紫外線を浴び続けると、時間をかけて少しずつ色が変わっていきます。数年乗った車の色は、購入したときの色とは厳密には別のものになっています。
変化の度合いは、駐車環境、乗っている年数、色の種類によって変わります。屋根のない場所に置いている車、赤や黒のように変化が出やすい色では差が大きくなります。
同じ車の中でも変化には差があります。屋根やボンネットは日光を真上から受けるため、垂直な面であるドアより変化が進みやすいです。
同じ色番号内での調合の違い
自動車メーカーは、同じ色番号でも生産した工場や時期によって微妙に調合の異なる塗料を使っていることがあります。
塗料メーカーはこれを「バリエーション」として複数の配合データで提供しています。修理の現場では、このどれに近いかを実車を見て判断します。番号を入力すれば答えが一つ出てくる仕組みではありません。
塗る面の位置による見え方の違い
メタリックやパールの色には、光をきらめかせる粒子が入っています。この粒子の並び方はスプレーの当て方で変わるため、屋根のような水平な面とドアのような垂直な面では、同じ塗料でも明るさが違って見えます。
調色の実際の手順

こうしたずれを埋めるために、次のような手順で色を作っていきます。
1. 配合データを取り出す
塗料メーカーが提供している配合データベースから、その色番号のレシピを取り出します。バリエーションが複数ある色では、候補が並ぶこともあります。
このとき、車の年式や生産時期を手がかりに、どのバリエーションが近そうか見当をつけます。
2. データどおりに調合する
原色となる塗料を、指定された比率で計量して混ぜます。数グラム単位の精度で計るため、専用の計量器を使います。
自動車の塗料は十数種類の原色を組み合わせて作られます。一つの色を作るのに、5〜10種類程度の原色を使うことも珍しくありません。
3. テスト板に試し塗りをする
いきなり車体に塗ることはしません。金属の板やテスト用の紙に吹き付けて、乾かします。
塗料は乾く前と乾いた後で色が変わるため、乾燥させてからでないと判断できません。濡れている状態では暗く、乾くと明るくなる方向に変わることが多いです。
池内自動車では、このテスト板での確認を標準の工程としています。
4. 実車に当てて見比べる
乾いたテスト板を修理する箇所の隣に当てて、色を比べます。このとき、明るい自然光の下で、角度を変えながら確認します。屋内の照明だけでは光の質が違うため、正確に判断できません。
見るのは色味だけではありません。メタリックやパールでは、粒子の見え方(粒の大きさ、きらめきの強さ)も合わせる対象になります。
5. 原色を少量足して調整する
差があれば、赤みを足す、青みを足す、白を足して明るくするといった調整を加えます。
足すのはごく少量です。一度に多く入れると戻せなくなるため、少しずつ確認しながら進めます。塗料は混ぜた分だけ量が増えるので、無駄を出さないためにも慎重に進める必要があります。
6. 納得できるまで3〜5を繰り返す
一発で合うことは少なく、テスト塗りと確認を何度か繰り返します。難しい色ではこの往復に時間がかかります。
それでも差が残る場合の「ぼかし塗装」
調色をどれだけ詰めても、わずかな差が残ることがあります。この差を視覚的に埋めるのが「ぼかし塗装」です。
修理した箇所だけを塗ると、隣のパネルとの間に色の切り替わり線ができます。人の目は、境目があるとわずかな差でも気づきます。そこで、隣の面まで塗料を薄く広げていき、境目そのものをなくします。
たとえばドアを修理する場合、そのドアだけでなく隣のフェンダーやリアドアの一部にも薄く塗料を乗せて、色が徐々に移り変わるようにします。このため、修理する箇所は一箇所でも、塗る範囲は広くなることがあります。
仕上がりに納得できないときの判断は板金塗装で色が合わないときの対処で扱っています。見積もりで「隣のパネルまで塗装」と書かれている場合、多くはこのぼかしのための工程です。無駄に範囲を広げているわけではなく、色の差を目立たなくするために必要な作業です。
塗ったあとの乾燥も仕上がりに影響する
調色で色が合っていても、乾燥のさせ方でツヤの出方が変わります。
塗ったあと室温で放置する自然乾燥に対して、専用の設備で加熱して焼き付ける方法があります。加熱すると塗膜の乾き方が均一になり、ツヤのムラが出にくくなります。塗膜が短時間で硬くなるため、その後の扱いも楽になります。
池内自動車では、パテと塗装のいずれも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。
特に難しい色

調色の難易度は色によってかなり違います。合わせにくいと言われるのは次のような色です。
| 色の種類 | 難しい理由 |
|---|---|
| 3コートパール(白系のパール) | 下地の色・パール層・クリアの三層構造で、パール層の厚みの差が見え方を変える(パールホワイトの傷修理) |
| メタリック | 金属粒子の並び方がスプレーの当て方で変わり、明るさが揃いにくい |
| 赤系 | 紫外線による変化が出やすく、経年車では元の色と差が大きくなりやすい |
| 黒(ソリッド) | ツヤの差がそのまま見えるため、表面の平滑さも問われる |
| マット(つや消し) | 表面の質感まで合わせる必要があり、磨きで調整できない |
| 特別仕様色・限定色 | 配合データが少なく、バリエーションの判断材料が限られる |
これらの色では、作業前に「差が残る可能性がある」と説明を受けることがあります。ごまかしではなく、条件を先に共有する意味の説明です。
塗装代の中身には調色の時間が含まれている
修理の見積もりを見て「塗装代が思ったより高い」と感じることがあります。その一因が、この調色の工程です。
塗料を混ぜる作業、テスト塗りと乾燥、見比べての調整。これを何度か繰り返す時間が、塗装の工程に含まれています。板金でヘコミを直す作業と同じくらい、あるいは色によってはそれ以上の時間がかかることもあります。
つまり塗装代は「塗料の代金」ではなく、色を合わせるための工程に対する費用です。ここを知っておくと、見積もりの内訳を読むときに納得しやすくなります。
手間がかかる工程でも、早く仕上げられる
工程が多いと聞くと、預ける日数も長くなりそうに思えます。ただ、そこは設備と体制でどこまで短縮できるかによって変わります。
池内自動車では、修理は最短当日で対応しています。修理内容ごとの金額は料金表で公開しています。パテと塗装のいずれも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けているため、自然乾燥を待つ必要がありません。テスト板での色確認も工程に組み込んだうえで、この納期を実現しています。
費用についても、修理内容ごとに料金をあらかじめ決めています。バンパーのすり傷(10cm以内)であれば3,300円〜(税込)からです。作業のたびに工数を積み上げて計算する方式ではないため、依頼する前に費用の見通しが立ちます。
なお、損傷の程度や色の合わせにくさによって必要な日数は変わります。実際の納期は見積もりの際にご案内します。
調色したデータはどう扱われるか

一度合わせた色の配合は、記録として残せます。同じ車で別の箇所を後日修理することになった場合、この記録があれば出発点として使えます。
ただし、記録があってもそのまま使えるとは限りません。前回の修理から時間が経てば、その間にもボディの色は変化しています。また前回塗った箇所自体も変化しているため、比べる相手が変わっていることになります。そのため、記録を出発点にしつつ改めてテスト板で確認する流れになります。
修理を依頼するときに「以前ここで直したことがあります」と伝えておくと、記録を確認してもらえる場合があります。過去の修理明細が残っていれば、あわせて見せると役に立ちます。
塗る範囲は「傷の大きさ」だけでは決まらない
見積もりを見て「小さなキズなのに塗る範囲が広い」と感じることがあります。塗る範囲を決める要素は、傷の大きさだけではありません。
色の合わせにくさ — 合わせにくい色ほど、ぼかす範囲を広く取る必要があります。
傷の位置 — パネルの真ん中にある傷は、周囲にぼかす余地があります。パネルの端にある傷は、隣のパネルまで塗料を伸ばさないと境目ができてしまいます。
パネルの区切り — ボディはパネルごとに区切られており、その区切りを越えるかどうかで作業量が変わります。区切りの途中で塗り終えると、そこに線が残ります。
プレスライン(ボディの折れ線) — ボディには意匠として折れ線が入っています。この線を境目にすると差が目立ちにくいため、線の位置に合わせて塗る範囲を決めることがあります。
つまり、同じ大きさのキズでも位置と色によって塗る範囲が変わります。見積もりの範囲が広いと感じたときは、「なぜここまで塗るのですか」と聞いてみると理由を説明してもらえます。
依頼するときに聞いておくとよいこと
- 自分の車の色は合わせにくい色か
- 隣のパネルまでぼかすか
- テスト板で確認してから本塗りに入るか
- 乾燥設備で焼き付けるか、自然乾燥か
- 引き取りのときに屋外で一緒に確認できるか
これらに具体的に答えてもらえるかどうかは、依頼先を選ぶ判断材料になります。
よくある質問

Q. タッチペンの色は車体の色と同じですか
タッチペンは色番号に対応した既製品なので、配合データどおりの色です(タッチアップペンの使い方)。経年変化した実車の色に合わせて調整されたものではありません。そのため、塗った箇所が周囲より鮮やかに見えることがあります。ごく小さな点キズであれば目立ちませんが、線状のキズに使うと差が見えることがあります。
Q. 色番号のプレートが見つかりません
車種によって場所が異なります。車検証には色の名称は載っていますが番号は記載されていないことが多いため、ディーラーに車台番号を伝えて確認する方法があります。修理を依頼する工場でも、車種と年式から調べられる場合があります。
Q. 調色は機械で自動的にできないのですか
配合データの取り出しと計量は機械化されています。ただし「どのバリエーションが実車に近いか」の判断と、そこからの微調整は実車を見ながら行う必要があります。色を測る機器(測色器)を使って数値化する方法もありますが、経年変化した面や、メタリックの粒子の見え方までを完全に数値で置き換えるのは難しいのが現状です。
Q. 同じ工場に頼めば、次回も同じ色が出せますか
調色したデータを記録している工場であれば、次回に活かせます。ただしその間にさらに経年変化が進むため、そのまま同じ配合でよいとは限りません。再度の確認は必要になります。
Q. 修理箇所の色だけ後から変化しませんか
新しく塗った塗膜も紫外線を受けて変化していきます。周囲より後から塗ったぶん、変化のタイミングがずれます。長期的には差が縮まる場合もありますが、逆に開くこともあります。
池内自動車の板金塗装について
池内自動車は板金塗装を専門にしている修理チェーンです。全国35店舗で、年間39,000台以上の修理を扱っています。
色を決める際は、テスト板に試し塗りをして乾かし、実車と見比べてから本塗りに入る工程を標準としています。パテと塗装はいずれも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。修理は最短当日で対応しています。仕上がりの実例は修理事例でご覧いただけます。
見積もりは写真を送るだけの60秒無料見積もりです。60秒程度で完了し、原則10分以内に回答します。10分を超えた場合は1,000円割引します。
なお池内自動車は、ボディの板金塗装に専門を絞り、設備と人をそこに集中させています。ボディのキズ・ヘコミ・塗装のことでしたら、まずご相談ください。
まとめ
調色は、色番号どおりの塗料を用意したうえで、実車と見比べながら原色を少量ずつ足して「いま付いている色」に近づける作業です。
紫外線による経年変化、同じ色番号内の調合の違い、塗る面の向きによる見え方の差があるため、番号どおりの塗料をそのまま塗っても合いません。
テスト板に塗って乾かし、明るい自然光の下で見比べ、少量足して調整する。この往復を繰り返します。それでも残る差は、隣の面まで塗料を薄く広げる「ぼかし塗装」で目立たなくします。塗ったあとは乾燥設備で焼き付けることで、ツヤのムラを抑えられます。
見積もりの塗装代が思ったより大きく感じるとき、その中にはこの工程の時間が含まれています。工程は多いものの、乾燥設備で焼き付けることで池内自動車は最短当日の修理に対応しています。
あ、キズ直そ。写真を送るだけ、60秒でお見積もりします。
読んだ内容で迷ったら、
写真を1枚送ってみてください。
傷の程度は写真を見れば判断できます。入力は60秒、回答は原則10分以内。
修理は最短当日で仕上がります。ご来店での見積もりも無料です。
※バンパーのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)/20cm以内 6,000円〜(税込)
日守翔吾
大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。
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