板金塗装で色が合わない…原因と、やり直しをお願いするときの伝え方

更新日:2026/08/25 | 公開日:2026/08/25

板金塗装全般

板金塗装で色が合わない…原因と、やり直しをお願いするときの伝え方

修理から車が戻ってきて、直した箇所の色が周りと違って見える。よく見ると自分の車なのに一箇所だけ浮いている。がっかりする瞬間です。

色が合わないと感じたとき、それが避けられない理由によるものなのか、それともやり直しをお願いしていい範囲なのかは、判断が難しいところです。

板金塗装を扱っている立場から、色が合わなくなる仕組みと、どこまでが技術的に避けられないのか、そして納得できないときにどう伝えればよいのかを正直にお伝えします。

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そもそも「同じ色番号」でも同じ色にはならない

塗装が仕上がった水色のセンターピラー

車には色ごとにカラーコード(色番号)が決められています。修理ではこの番号をもとに塗料を用意します。ただ、番号が同じでも実際の色がぴったり一致するとは限りません。理由は複数あります。

1. 経年でボディの色が変わっている

紫外線を浴び続けた塗装は、時間をかけてわずかに色が変わっていきます。屋外に置いている車であれば、購入時の色と現在の色は厳密には別のものです。新品の塗料をそのまま塗ると、周囲より鮮やかに見えることになります。

年式が古い車、屋根のない駐車場に置いている車、赤や黒のように色の変化が出やすい色では、この差が大きくなります。

同じ車の中でも変化には差があります。屋根やボンネットは日光を真上から受けるため、垂直な面であるドアより変化が進みやすいです。そのため「屋根とドアで元々色が違う」という状態も起こります。

2. 同じ色番号の中に複数の「バリエーション」がある

自動車メーカーは生産の過程で、同じ色番号でも微妙に異なる調合を使い分けていることがあります。生産した工場や時期によって差が生じるためです。

塗料メーカーはこれを「バリエーション」として複数の配合データで提供しています。修理の現場では、このバリエーションのどれに当たるかを実車を見ながら判断します。番号を入力すれば答えが一つ出てくる、という仕組みではありません。

3. 塗る面の向きで見え方が変わる

とくにメタリックやパールの色は、光をきらめかせる粒子が入っています。この粒子は塗るときのスプレーの当て方で並び方が変わり、見る角度によって明るさが変化します。

屋根のように水平な面と、ドアのように垂直な面では、同じ塗料でも見え方が違ってきます。塗る向きが変われば粒子の寝方も変わるためです。

4. 3コートパールは構造的に難しい

白いパール系の色に多いのが、下に色を塗り、その上にパールの層を重ね、さらにクリアを乗せる三層構造です。

パールの層の厚みが少し違うだけで見え方が変わるため、合わせるのが特に難しい色です。同じ配合で塗っても、吹き付ける回数や量で仕上がりが変わります。

5. 修理歴のある箇所の隣を塗る場合

過去に別の修理で塗られている箇所の隣を塗る場合、その塗装が何色でどう調整されたものかがわかりません。この場合、合わせる相手そのものが元の色ではないため、難易度が上がります。

色を合わせるために現場でやっていること

塗装ブースでドアパネルを塗装する様子

こうした条件のもとで色を近づけるために、板金塗装の現場では次のような手順を踏みます。

調色 — 色番号どおりの塗料を用意したうえで、実車と見比べながら少量ずつ他の色を混ぜて調整します。この作業を調色と呼びます(調色の工程を詳しく解説した記事)。

テスト板での確認 — いきなり車に塗らず、金属の板に試し塗りをして乾かし、実車に当てて見比べます。塗料は乾く前と後で色が変わるため、乾かしてからの確認が必要です。池内自動車ではこの工程を標準としています。

ぼかし塗装 — 修理した箇所だけを塗るのではなく、隣の面まで塗料を薄く広げていき、色の切り替わりを目立たなくする手法です。境目をつくらないことで、わずかな差を視覚的に埋めます。

明るい光での確認 — 屋内の照明だけでなく、自然光の下で確認します。光の種類によって色の見え方が変わるためです。

乾燥設備での焼き付け — 加熱して塗膜を安定させます。乾き方が均一になるため、ツヤのムラが出にくくなります。池内自動車ではパテと塗装のいずれも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。

これらを踏んでも、条件によっては差が残ることがあります。特に、経年変化が進んだ車、パール系の色、屋根の塗装ではその可能性が高くなります。

どこまでが避けられない差で、どこからがやり直しの範囲か

判断の目安として、次のように考えると整理しやすくなります。

状態評価の目安
明るい屋外で角度を変えながら探すと、わずかに違いがわかる技術的に避けにくい範囲。特に経年車・パール系では起こりうる
特定の角度から見たときだけ明るさが違って見えるメタリック・パールでは起こりうる範囲
屋内でも境目がはっきり線として見える差が大きい。ぼかしが十分でない可能性がある
離れて一目見た瞬間に色が違うとわかるやり直しを相談してよい範囲
塗った面の中でムラや色の濃淡がある塗り方の問題。相談してよい範囲
表面にザラつき、ブツ、垂れがある色とは別の仕上がりの問題。相談してよい範囲
塗装した面の一部にゴミが埋まっている塗装ブースの管理か作業の問題。相談してよい範囲

一つの基準として、「事前にどう説明されていたか」も重要です。

作業前に「経年変化があるので完全には合わせられない可能性があります」と説明を受けていたなら、ある程度の差は想定内です。何の説明もなく大きな差が出たのであれば、そこを含めて話し合う余地があります。

納得できないときの伝え方

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感情的にならずに事実を共有するのが、話を前に進める一番の近道です。次の順序で進めてみてください。

1. 気づいたらすぐに伝える

時間が経つと、納車時からそうだったのか後から変化したのかがわからなくなります。引き取りの場で気づいたなら、その場で伝えるのが最善です。帰ってから気づいた場合も、日をあけずに連絡します。

2. 写真を撮っておく

明るい屋外で、複数の角度から撮ります。修理した箇所と隣の面が一枚に収まるように撮ると、差が伝わりやすくなります。近すぎると全体の印象が伝わらないので、離れた一枚も撮っておきます。

同じ条件で反対側の同じ面も撮っておくと、比較材料になります。「右のドアと左のドアで、こう違います」という形で示せます。

3. 「どう見えるか」を具体的に言葉にする

「色が違う」だけでは、どの程度の話なのかが伝わりません。次のように具体化します。

- 「離れて見ても、右のドアだけ明るく見えます」

- 「屋外だと境目が線になって見えます」

- 「塗った面の下のほうだけ色が濃く見えます」

- 「正面からは気にならないのですが、斜めから見ると白っぽく見えます」

4. 事前の説明内容と照らして確認する

「作業前に色の差について説明はありましたか」という点を、自分の記憶と照らし合わせます。説明を受けていた場合は、その説明の範囲に収まっているかを一緒に確認します。

5. 対応の選択肢を聞く

やり直しだけが解決策ではありません。次のような方法があります。

ぼかす範囲を広げる — 隣の面までさらに広く塗料を広げ、境目を目立たなくします。

隣の面まで塗り直す — 修理箇所と隣接するパネルをまとめて塗ることで、面全体の色を揃えます。

磨きで表面を整える — ツヤのムラや細かいザラつきであれば、磨きで改善できる場合があります。ただし硬化が済んでいない段階では避けるべき作業なので、時期の判断も必要です。

調色をやり直して再塗装する — もっとも手間のかかる方法ですが、差が大きい場合は必要になります。

それぞれの日数と費用負担がどうなるかを聞いてください。

6. 別の工場に見てもらうという方法もある

判断がつかない場合、他の板金塗装の工場に見てもらって意見を聞く方法もあります。第三者の目が入ることで、避けられない範囲なのかどうかの目安がつきます。

依頼する前にできること

そもそも色の問題を減らすために、依頼の段階でできることがあります。

色番号を伝える — 運転席のドアを開けた柱の部分やエンジンルーム内に、色番号が書かれたプレートがあります。これを伝えておくと準備がスムーズです。

色の合わせにくさを確認する — 「この色は合わせにくい色ですか」と聞いてみます。パール系やメタリック、経年の進んだ車では、正直に答えてくれる工場のほうが信頼できます。

ぼかす範囲を確認する — 「隣の面までぼかしますか」と聞きます。修理箇所だけで塗り切る場合と、隣までぼかす場合で仕上がりが変わります。

テスト板で確認するか聞く — 「本塗りの前にテスト板で色を見ますか」と確認します。この工程があるかどうかで、色の精度が変わります。

乾燥の方法を聞く — 「乾燥設備で焼き付けますか」と聞きます。焼き付けはツヤのムラを減らす方向に働きます。

仕上がりの確認方法を決めておく — 「引き取りのときに屋外で一緒に確認させてください」と伝えておくと、その場で話ができます。

よくある質問

Q. 全塗装すれば色の問題は起きませんか

車全体を同じ塗料で塗るため、パネル間の色差は起きません(全塗装の費用相場)。ただし費用と期間は部分塗装より大きくなります。また、ドアの内側やエンジンルーム内など塗らない部分が残ると、そこに元の色が見えることがあります。

Q. 時間が経てば色は馴染みますか

新しく塗った箇所も紫外線を受けて変化していくため、長期的には差が縮まる場合があります。ただし縮まる保証はなく、逆に劣化の進み方が違って差が開くこともあります。「待てば馴染む」と考えて放置するのは確実な解決ではありません。

Q. やり直しは無料でしてもらえますか

工場の判断と、差の程度によります。技術的に避けられない範囲であれば、追加の作業には費用が発生する場合があります。まずは状態を見てもらい、対応方法と費用負担を確認してください。

Q. 屋根の塗装は特に難しいと聞きました

屋根は日光を真上から受けるため経年変化が進みやすく、また水平な面なので粒子の寝方が垂直面と変わります。この二つが重なるため、合わせにくい部位です。事前に説明を受けることが多い箇所です。

Q. 隣のパネルまで塗ると聞きましたが、余計な費用ではないですか

境目をつくらないための工程なので、色を合わせるうえで必要な作業です。修理箇所だけで塗り切ると、そこに色の切り替わり線ができて、かえって目立つことがあります。

池内自動車の板金塗装について

高崎で車の板金塗装・修理が安い業者は?費用相場と選び方を徹底解説

池内自動車は板金塗装を専門にしている修理チェーンです。全国35店舗で、年間39,000台以上の修理を扱っています。

修理内容ごとに料金をあらかじめ決めており、バンパーのすり傷(10cm以内)であれば3,300円〜(税込)から対応しています。

色を決める際は、テスト板に試し塗りをして乾かし、実車と見比べてから本塗りに入る工程を標準としています。パテと塗装はいずれも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。修理は最短当日で対応しています。

実際の仕上がりは修理事例でご確認いただけます。色の合わせにくい条件がある場合は、作業前にお伝えします。パール系の色や経年変化の進んだ車では、差が残る可能性を含めてご説明したうえで進めます。

見積もりは写真を送るだけの60秒無料見積もりで、60秒程度で完了します。部位・サイズごとの金額は料金表で公開しています。原則10分以内に回答し、10分を超えた場合は1,000円割引します。

なお池内自動車は、ボディの板金塗装に専門を絞り、設備と人をそこに集中させています。ボディのキズ・ヘコミ・塗装のことでしたら、まずご相談ください。

まとめ

色が合わない原因の多くは、経年でボディの色が変わっていること、同じ色番号にも調合の違いがあること、メタリックやパールは塗り方で見え方が変わることにあります。現場では調色、テスト板での確認、ぼかし塗装でこの差を埋めますが、条件によってはわずかな差が残ります。

判断の目安は、明るい屋外で探してようやくわかる程度なら避けにくい範囲、離れて一目でわかるならやり直しを相談してよい範囲、ということです。

伝えるときは、写真を用意して「どう見えるか」を具体的な言葉にすること。そして、やり直し以外の選択肢も含めて対応方法を聞くことが解決につながります。

依頼の段階で「この色は合わせにくいですか」「テスト板で確認しますか」と聞いておくと、あとの認識のずれを減らせます。

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監修者情報
株式会社イケウチ 技術部長 日守翔吾
株式会社イケウチ 技術部長
日守翔吾

大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。

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