板金修理とは?言葉の意味から費用相場、業者選びまでプロが完全ガイド
更新日:2025/09/17 | 公開日:2021/08/26
愛車の修理を検討する際、必ず耳にする「板金」という言葉。なんとなく「車のボディを直すこと」と理解していても、「具体的に何をするの?」「板金塗装やデントリペアとは違うの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
板金修理は、専門的な技術と経験を要する奥深い世界です。そして、その費用や依頼先も様々で、知識がないまま依頼すると、思わぬ高額請求に繋がることも少なくありません。
そこでこの記事では、自動車修理のプロフェッショナルが、「板金」という言葉の本当の意味から、具体的な修理工程、損傷別の費用相場、そして後悔しない業者選びのポイントまで、あらゆる疑問に答える形で「完全ガイド」します。
この記事を最後まで読めば、あなたはもう板金修理で迷うことはありません。
板金とは?言葉の本当の意味からプロが解説

まず、車の修理について知る前に、「板金」という言葉の原点を理解することが、全体像を掴むための第一歩です。
「板金」と「鈑金」- 言葉の本当の意味
実は「板金」とは、もともと自動車専門用語ではありません。金属の板を「切る・曲げる・叩く・溶接する」といった加工を施し、様々な製品を作り出す金属加工技術全般を指す言葉です。私たちの身の回りにある冷蔵庫やパソコンの筐体、キッチンのシンクなども、この板金技術によって作られています。
また、昔ながらの修理工場の看板で「〇〇鈑金」という表記を見たことがあるかもしれません。「板」は木へん、「鈑」は金へんであり、金属加工を指す言葉としては「鈑金」が本来はより正確です。しかし、「鈑」が常用漢字ではないため、現在では「板金」と表記されるのが一般的です。どちらも同じ意味だと考えて問題ありません。
車における「板金」「板金塗装」「デントリペア」の違い
自動車業界で使われる「板金」は、事故や経年劣化で変形・損傷した車のボディを、元の美しい形に復元する専門技術を指します。この作業に関連して、よく似た言葉がいくつか存在します。
- 板金 変形したボディパネルを、裏から叩いたり、表から引っ張ったりして、形を元通りに修復する「作業そのもの」を指します。
- 板金塗装 板金作業で形を修復した部分は、ほとんどの場合塗装がダメージを受けています。そのため、下地処理から再塗装、磨き上げまでを行い、色と艶を元通りに復元する必要があります。この「板金」と「塗装」は一連の作業であるため、合わせて「板金塗装」と呼ばれるのが一般的です。
デントリペア 塗装に傷がなく、比較的小さなへこみの場合に用いられる特殊な修理方法です。塗装は一切行わず、へこみの裏側から専用の特殊工具で精密に押し出すことで、元の状態に復元します。塗装を行わないため、安価かつ短時間で修理できるのがメリットですが、対応できるへこみの種類には限りがあります。
板金修理で対応可能な損傷の種類

板金修理では、ごく小さな傷から大きな事故による損傷まで、様々な状態に対応できます。ここでは代表的な損傷の種類を解説します。
ひっかき傷・線傷
鍵やカバンの金具、洗車時の砂、木の枝など、日常のふとした瞬間にできてしまう細い線状の傷です。塗装の最も表面にあるクリア層だけの浅い傷であれば、磨き作業(コンパウンド)だけで消えることもありますが、塗装面まで達している深い傷は、板金塗装による修理が必要になります。
こすり傷
ガードレールや縁石、壁などに擦ってしまった際にできる、広範囲にわたる傷です。塗装が広範囲に剥がれ、下地が見えてしまっているケースが多く、放置するとサビの発生原因となるため、早急な修理が推奨されます。
へこみ傷
他の車との接触や、電柱やポールへの衝突、不意の飛来物などによってボディがへこんでしまった状態です。塗装も同時に傷ついていることがほとんどで、板金作業による形状の復元と、塗装作業の両方が必要になります。
サビ・腐食
傷や塗装の剥がれを放置した結果、水分が鉄板に侵入して発生するのがサビです。最初は小さな点でも、内部でどんどん進行し、塗装を浮き上がらせたり、最悪の場合は鉄板に穴を開けてしまったりする深刻な損傷です。
フレームの歪み
大きな事故などで、ボディ表面だけでなく、車の骨格である「フレーム」まで変形してしまった状態です。専用の「フレーム修正機」を使い、ミリ単位で寸法を計測しながら元の状態に引き戻す、最も大掛かりな板金作業が必要となります。
板金塗装の全工程をステップ解説

「なぜプロの修理は綺麗に直るのか?」その答えは、丁寧で妥協のない作業工程にあります。ここでは、一般的な「へこみ傷」を修理する際の工程を公開します。
- 損傷確認・部品の分解 まず、損傷の範囲や深さを正確に診断します。修理の妨げになるバンパーやライト、内張りなどの部品は丁寧に取り外します。
- 引き出し・叩き出し(板金作業) スタッド溶接機という専用工具でワッシャーをへこみに溶接し、引っ張り出す「引き出し作業」や、パネルの裏側からハンマーで慎重に叩き出す「叩き出し作業」で、へこんだ鉄板を元の形状に極限まで近づけます。
- パテによる整形 板金作業で取りきれなかった微細な凹凸を、パテと呼ばれる粘土状の素材で埋め、完全に平滑な面を作り出します。乾燥後に研磨を繰り返すことで、元の曲面を滑らかに復元し、後の塗装工程で綺麗な仕上がりを実現するための土台を整えます。
- 下地塗装(サフェーサー) パテが剥き出しの状態では塗料が密着しないため、「サフェーサー」という下地塗料を吹き付けます。これは、上塗り塗料の密着性を高めると同時に、サビを防ぐ重要な役割も果たします。
- 調色・塗装 車の塗装は、新車時からの紫外線などによる僅かな色褪せも考慮しなければなりません。カラーコードを元に、職人が経験と勘を頼りに微調整を繰り返し、修理箇所と周囲の色が完全に一致する塗料を作り出す「調色」を行います。その後、ホコリやチリの付着を最大限に防ぐよう配慮した環境で、スプレーガンを使って何度も丁寧に塗り重ねていきます。
- 磨き・仕上げ 塗装が完全に乾燥した後、表面に付着した微細なホコリなどを取り除き、肌理を整えるため、数種類のコンパウンドを使って丁寧に磨き上げます。これにより、新品同様の深い艶が生まれます。
【費用相場の新常識】パーツ別・業者別徹底比較
板金修理の費用は、損傷の状態や依頼先によって大きく変動します。ここでは、一般的な相場観と、専門工場である池内自動車の具体的な料金を比較し、「費用相場の新常識」を提示します。
板金修理費用が高騰している理由
まず知っておくべきは、近年、自動車の修理費用は全体的に上昇傾向にあるという事実です。その背景には、
- 熟練した板金職人の不足による人件費の高騰
- 衝突安全ボディなど、高張力鋼板を使用した複雑な構造の車が増え、修理の難易度が上がっていること
- 塗料などの材料費や物流費の上昇 など、複数の要因が絡み合っています。だからこそ、質の高い修理を適正価格で提供できる業者選びが、これまで以上に重要になっています。
一般的な費用相場(ディーラー・カー用品店)
一般的に、ディーラーは純正部品の使用や品質管理の厳しさから最も高額になる傾向があり、カー用品店はそれよりは安価ですが、対応できる範囲が限られる場合があります。
| パーツ | 損傷の状態 | ディーラーの相場 | カー用品店の相場 |
| バンパー | 20cm以内の擦り傷 | 30,000円~50,000円 | 25,000円~40,000円 |
| ドア | 20cm以内のへこみ傷 | 50,000円~80,000円 | 40,000円~70,000円 |
| ボンネット | 20cm以内のへこみ傷 | 50,000円~80,000円 | 40,000円~70,000円 |
【独自情報】専門工場「池内自動車」のバンパー修理料金
ディーラーなどからの中間マージンを排除し、自社工場で一貫して作業を行う専門工場では、高品質な修理をよりリーズナブルに提供することが可能です。以下は、池内自動車のバンパー修理における具体的な料金表です。
| キズの大きさ | すりキズ・線キズ(ヘコミなし) | ヘコミ(キズなし) | キズ+ヘコミ |
| 10cm以内 | 3,300円~ | 19,800円~ | 25,300円~ |
| 20cm以内 | 16,500円~ | 25,300円~ | 30,800円~ |
| 20cm超 | 23,100円~ | 30,800円~ | 39,600円~ |
| ※補修箇所が1ヶ所の場合 ※金額はすべて税込表示 |
このように、明確な料金体系を持つ専門工場に直接依頼することが、修理費用を抑える上で最も賢明な選択肢の一つと言えます。
業者選びで失敗しないための比較ポイント

板金修理を依頼できる場所はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
| 依頼先 | 安さ | 品質の高さ | 速さ | 安心感・手軽さ |
| ディーラー | △ | ◎ | △ | ◎ |
| 板金専門工場(池内自動車) | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| カー用品店 | ○ | ○ | ○ | ◎ |
| ガソリンスタンド | ○ | △ | ○ | ◎ |
- ディーラー: メーカーの看板を背負っているため、品質は間違いありません。しかし、多くは下請けの板金工場に外注するため、中間マージンが発生し費用は最も高くなります。純正部品での交換を強く希望する場合や、購入店との付き合いを重視する方向けです。
- 板金専門工場(池内自動車): 修理のプロフェッショナル集団です。修理を専門とするプロフェッショナル集団です。専門工場としてお客様から直接ご依頼を請け負うため、余計な中間マージンがかかりません。高い技術力で、お客様のご要望に応じた綺麗な仕上がりを、適正な価格で実現できるのが最大のメリットです。
- カー用品店・ガソリンスタンド: 気軽に見積もりを依頼できる手軽さが魅力です。小規模な傷やへこみには「クイックリペア」などで安価に対応している場合もありますが、重度の損傷や高い品質を求める修理には対応できないこともあります。
池内自動車は、年間実績25,000台以上を誇る、車のキズやヘコミを修理する板金塗装・修理の専門店です。修理専門の技術スタッフが迅速かつ丁寧に作業を行い、料金も明瞭でリーズナブル。 お見積もりはメールで簡単に依頼可能で、個人情報の入力は不要。写真を送るだけでスムーズに確認できます。車の板金修理や塗装をお考えなら、ぜひ池内自動車にご相談ください。
保険は使うべき?修理費用と保険料を天秤にかける判断基準
「保険を使えばタダで直せる」と思いがちですが、それは大きな間違いです。板金修理で車両保険を使うと、翌年度から保険料が上がってしまい、結果的に修理代以上に多くのお金を支払うことになるケースが多々あります。
保険を使うと、翌年から等級が3等級ダウンし、さらに「事故有係数適用期間」として3年間は割増された保険料を支払うことになります。
具体的なシミュレーション
例えば、修理代が7万円だったとします。保険を使って修理した場合、翌年からの保険料が年間で3万円上がると仮定すると、 3万円 × 3年間 = 9万円 となり、修理代を自腹で払うよりも2万円も多く支払うことになってしまいます。
明確な基準はありませんが、一般的に10万円以下の修理であれば、保険を使わずに自己負担で直した方が、長期的には得になる可能性が高いと言われています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 板金修理には何日くらいかかりますか?
A1. 損傷の程度によります。バンパーの軽い擦り傷なら1日~2日、ドアのへこみ修理なら3日~5日程度が目安です。ただし、部品の取り寄せが必要な場合や、フレーム修正などの大掛かりな修理の場合は数週間かかることもあります。
Q2. 修理中に代車は借りられますか?
A2. 多くの工場で代車の無料貸し出しサービスがあります。ただし、工場の規模や混雑状況によっては、すぐにご用意できない場合もあるため、修理を予約する際に必ず確認しましょう。
Q3. 小さなへこみなら、修理費用はいくらくらいですか?
A3. 10円玉程度の小さなへこみであっても、綺麗に直すためには、形を精密に整えた上で再塗装する「板金塗装」が一般的な修理方法となります。
料金の相場としては、塗装まで含めた修理で2万円前後からが目安ですが、専門の板金業者に直接依頼することで費用を抑えることが可能です。その場合の料金相場は、10cm以内のへこみで1万5千円前後からとなります。
正確な料金はお車の状態を確認した上でご提示しますので、まずはお気軽にご相談ください。
車の板金修理に関するよくある質問
板金修理はどこまでできる?
板金修理の範囲は、主に車のボディの傷やへこみの修理に対応しています。具体的には、ひっかき傷、擦り傷、へこみ傷、塗装剥がれなどの日常的なダメージに対する修理が可能です。ただし、鉄板が大きく変形している傷や、パーツが原形をとどめていない場合など、激しい損傷は対応が難しく、パーツ交換が推奨されることもあります。
車の小さい凹みの修理費用はいくらですか?
車の小さい凹みの修理費用は、損傷の大きさや場所により異なります。正確な費用は車種や色、損傷の程度により変動しますので、見積もりを取るのがおすすめです。
見積もりは無料で行うことができますので、まずはお問い合わせフォームよりご依頼ください。
車の板金修理には何日かかる?
車の板金修理には、一般的に1日から1週間程度かかります。傷の浅い小さなへこみや擦り傷であれば、数時間から1日で修理が完了することが多いです。しかし、傷やへこみが深く範囲が広い場合や、部品の取り寄せが必要な場合は、修理期間が長くなり、2日から1週間程度かかることがあります。修理工場が繁忙期の場合も期間が延びる可能性があります。
イケウチ自動車で車の板金修理をする際の期間については、実際の傷の内容や車種によって変動しますので、お問合せいただくことをおすすめします。
まとめ:最適な板金修理は、状況に合わせた賢い選択から
車の板金修理は、単に傷やへこみを直すだけでなく、愛車の価値と安全性を維持するための重要なメンテナンスです。そして、その成否は、どこに依頼するかにかかっています。
この記事で解説した通り、
- 「板金」には様々な種類と工程があること
- 費用は依頼先によって大きく変わること
- 品質と価格のバランスが最も優れているのは「板金専門工場」であること をご理解いただけたかと思います。
愛車の価値を守るためにも、まずは信頼できる専門工場に相談し、正確な見積もりを取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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