車のフレームが歪んだら修理はできる?費用はいくら?
フレームは、車の本体を形作る重要な部品で、人体に例えれば、骨格にあたります。
エンジンやタイヤなどは、全てフレームの上に取り付けられています。
そのため、フレームは車体を支えたり、走行性能を維持するために重要な役割を担っているのです。
衝突事故などで強い衝撃を受けて、フレームが歪んだりすると、正常な走行ができなくなるおそれがあります。
フレームが損傷した疑いがある場合は、専門の修理業者でチェックしてもらい、歪みを修理してもらう必要があります。
ここからは、車のフレームの役割や修理に必要な費用や期間についてお伝えします。
車のフレームとは?種類と構造
事故などで強い衝撃を受けると、車の骨格に当たるフレームが歪んでしまうことがあります。
フレームが歪むと車検に通らない
フレームが歪むと、車のバランスが取れなくなり、走行に異常が生じ、安全性に支障を来たすおそれがあります。
そのため、フレームの状態は車検の検査対象になっており、歪みがある場合は、車検に通らなくなります。
フレームの種類と役割
車のフレームは構造によって、ラダーフレームとモノコックフレームの2種類に分かれます。
ラダーフレーム構造
ラダーフレーム構造は、フレームと車体がそれぞれ独立して作られています。
ラダーフレーム構造で作られた車は
■フレームが車体などと独立しているので、衝撃に強く壊れにくい
■事故を起こして車体が壊れても、フレームは損傷しにくい
というメリットがあります。
そのため、頑丈さが求められるクロスカントリー車や4WD車、トラックなどに採用されています。
ただし、ラダーフレーム構造は部品の数が多くなるので、車の重量が増し、さらに事故が起きたときの衝撃が乗員に伝わりやすいというデメリットもあります。
モノコック構造
モノコック構造は、フレームと車体が一体で作られており、乗用車などで広く採用されています。
モノコック構造は
■部品点数が減るので車を軽量化できる
■事故の際に衝撃が分散され、乗員に伝わりにくい
というメリットがあります。
ただし、事故の際の衝撃が車全体に伝わるため、フレームが歪みやすいというデメリットもあります。
損傷したフレームの修理方法
フレームに歪みがあると、運転の安全性が確保できなくなるため、専門業者に修理してもらう必要があります。
フレームの損傷確認
フレームの損傷は、外部から目視するだけでは確認が難しく、運転中に違和感を感じて修理業者に持ち込んで判明することが多いです。
フレームが歪んだまま運転していると、車体のバランスが崩れて、直進していても、車線が左右にぶれてしまうことがあります。
そうなると
・直進走行していても、進路が曲がってしまう
・ハンドル操作が不安定になる
・不整地面での走行が不安定になる
など、走行に異常を来たすことがあります。
また、衝突事故だけでなく、縁石や側溝にタイヤを強くぶつけてもフレームが歪んでしまうことがあるので注意が必要です。
車が衝撃を受けた後に、走行やハンドル操作に違和感があったら、フレームが歪んでいる可能性があります。
そうした場合は、速やかに専門業者に持ち込んで、フレームを点検してもらう必要があります。
フレームの修理
車のフレームの歪みは、見た目ではわからないほど微妙であることが多く、歪みの有無は専門業者でなければ確認できません。
また、フレームの修理には専用の機材や設備・技術が必要なので、未経験者がDIYで行うのは、ほぼ不可能です。
フレームの修理方法と修理費用・期間
フレームの修理には、高額な修理費用と長い時間がかかることがあります。
また、フレームは部品交換ができないので、損傷が大きい場合は、元通りの状態に戻せないこともあるので注意が必要です。
板金による修理
フレームの修理は、歪んだ部分の金属を変形させ、元の状態に近づけるように、板金加工を行ないます。
フレームは交換することができないので、板金加工で、歪みを目立たないようにします。
ただし、フレームの損傷が大きい場合は、板金修理を行なっても、歪みが元に戻らず、車の走行やハンドル操作に支障が残る場合があります。
その場合は再度フレームをするか、修理を諦めて車を買い換えるか、判断を迫られる場合があります。
フレーム修理の費用
フレームの修理には、高額な費用と期間がかかることがあります。
■損傷箇所が少なく歪みが小さい場合
フレームに小さな歪みがあるだけでも、修理費用は、最低でも10万円程度かかります。
通常は数10万〜100万円程度の支出を覚悟する必要があります。
■自走できないほど大きな歪みがある場合
車が自走できないほど大きな損傷を受けた場合は、歪みも大きいため、修理費用は100万円を超えることがあります。
また、衝突事故などで大きな損傷を受けた場合は、フレーム以外の部品を修理したり、交換する必要があります。
フレーム以外の修理費をふくめると、実際の支払い額は、さらに膨らむ可能性が高いです。
フレームの修理期間
フレームの修理工程は複雑で、高い技術や専用の機材が必要なため、修理期間も長くなり、1週間近くかかることが多いです。
また、損傷が大きい場合は、修理期間が1か月近くかかることもあります。
修理期間中は車が使用できないため、長期にわたる場合は、修理費用だけでなく、代車費用が必要になる場合もあります。
フレーム修理と車の買い換えどちらが得?
フレームの損傷が大きいと、100万円を超える修理費用と、一か月近い修理期間が必要になる可能性があります。
また、修理しても完全に元の状態に戻らないおそれもあります。
その場合は、再修理が必要ですが、そうなるとさらに出費がかさみ、修理費用が車の市場価格を上回ってしまう場合もあるでしょう。
フレームの歪みが判明した場合は、先ず、修理費用の見積もりをしてもらいましょう。
その上で、修理と車の買い換えの、どちらがコストパフォーマンスに優れているかを比較する必要があります。
購入したばかりの新車で、修理費用が少額であれば、修理した方がよいかもしれません。
ただし、年式の古い車を、高い費用をかけて修理すると、損失が大きくなってしまうおそれが高いです。
修理が終わってから、買い換えなかったことを後悔しないように、修理費と車の市場価格を慎重に比較するようにしましょう。
まとめ
フレームは、車の骨格になる重要な部品で、事故などで強い衝撃を受けると、歪んでしまうことがあります。
フレームが歪むと、車のバランスが崩れて、走行やハンドル操作が不安定になったりするおそれがあるのです。
また、フレームは部品交換ができず、歪みが大きいと、高額な修理費用と長い修理期間がかかるおそれがあります。
さらに、フレームは部品交換ができないので、修理しても完全に元の状態に戻らないこともあります。
フレームを修理する場合は、車の市場価格と修理費を比較し、車の買い換えも選択肢に入れることが必要です。