板金塗装の全工程|入庫から納車までの流れを順番に解説
更新日:2026/10/23 | 公開日:2026/10/23
こすったバンパーやへこんだフェンダーを修理に出すと決めたものの、預けたあと車がどんな作業を通って戻ってくるのかは、外からはなかなか見えません。見積もりで「パテを入れて塗装します」と言われても、それが全体のどのあたりの作業なのか、ぴんとこない方も多いと思います。
流れが分からないままだと、見積もりの金額や預ける日数が妥当なのかも判断しにくくなります。受け取りのときに何を確かめればよいのかも、はっきりしません。
板金塗装を扱っている立場から、見積もりと入庫に始まり、修理前の確認、鈑金とパテ、サフェーサー、塗装、クリア、磨きを経て納車に至るまでを、1本で見渡せるように順番に並べました。各工程の細かい話は個別の記事に譲り、ここでは全体の流れと、工程ごとに何のためにその作業をしているのかを中心にお伝えします。
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※回答が10分を超えた場合は、修理代金から1,000円を差し引きます。
板金塗装は「形を戻す」「下地をつくる」「色を塗る」「仕上げる」の順に進む
板金塗装の作業は、細かく分けると多くの工程がありますが、大きくは4つのまとまりで考えると分かりやすくなります。へこみや歪みを戻して形を整える段階、塗装がきちんと乗るように下地をつくる段階、色とクリアを塗る段階、表面を整えて部品を元に戻す段階です。
この記事では、その前後に見積もり・入庫と納車を加えて、次の順番で説明します。
- 見積もりと入庫
- 修理前の確認
- 鈑金・パテ
- サフェーサー
- 塗装
- クリア
- 磨き
- 完成・納車
工程の順番には理由があります。後の工程は前の工程の出来を土台にしているので、順番を入れ替えたり飛ばしたりすると、どこかで帳尻が合わなくなります。たとえばパテの面が波打ったまま塗装すると、色を塗ったあとで波がかえって目立ちます。塗装は下の状態を隠すものではなく、映し出すものだと考えると、順番の意味がつかみやすくなります。
ただし、すべての修理がこの全工程を通るわけではありません。どこから始まるかは傷の深さで決まり、その話は後半の「傷の深さによって、通る工程の数が変わる」で扱います。
見積もりと入庫:写真で状態を伝え、預ける日を決める
修理の流れは、見積もりから始まります。池内自動車の場合、見積もりの方法はオンラインか来店のどちらかです。オンラインは傷の写真を送るだけで、依頼にかかる時間は60秒ほどです。回答は原則10分以内で、超えた場合は1,000円割引しています。店舗に車を持ち込んでの見積もりも無料で行っています。
写真を撮るときは、傷に寄った1枚と、車のどの部分かが分かる少し引いた1枚があると、状態を正確に伝えやすくなります。見積もりの段階で「この傷なら鈑金が要るか」「部品を交換したほうがよいか」の見立てがつくので、ここで伝わる情報が多いほど、入庫後に話が変わることは少なくなります。
見積もりに納得できたら、入庫の日を決めます。修理工賃(部品代を除く作業費用)が税込50,000円以上の場合は、無料の引き取り・納車か、代車の無料貸し出しのどちらか一方を利用できます。両方を同時に使うことはできません。代車は軽自動車やコンパクトカーが中心で、車種は選べないこと、燃料は満タンでの返却になることも、あらかじめ知っておくと安心です。代車を借りるときの保険の考え方は、修理中の代車の条件と保険の考え方で整理しています。
お支払いは、基本的に作業に取りかかる前です。作業の途中で追加の修理や部品交換が必要になった場合だけ、その分を完了後に精算します。お支払いは、ご来店いただいた場合クレジットカードもご利用いただけます。見積もりを受けたあとでお断りいただいても、費用はかかりません。
工程1 修理前の確認:傷の深さと広がりを見て、直し方を決める

車を預かったら、まず傷の状態をあらためて見ます。写真では分かりにくかった傷の深さや、へこみの広がり、周りのパネルとの段差などを、実物で確かめる工程です。
見ているのは主に3つです。1つ目は、傷がどの層まで届いているか。表面のクリアだけなのか、色の層まで削れているのか、下地の鉄板や樹脂が見えているのかで、この先の工程が変わります。2つ目は、パネルの形が変わっているかどうかです。塗装が無事でも、へこみや歪みがあれば鈑金が必要になります。3つ目は、板金塗装で直すのか、部品を交換するのかの判断です。
損傷が大きく、直すより交換したほうが合理的な場合は、新品または中古の部品への交換を選ぶこともあります。中古部品は費用を抑えられる選択肢ですが、出てくるかどうかは車種や年式によります。
あわせて、作業の邪魔になる部品を外すのもこの段階です。ランプやモール、エンブレムなどが近くにあれば、取り外すか、塗料がかからないように覆います。どこまで外すかは部位と傷の位置で変わります。
工程2 鈑金・パテ:へこみを戻し、パテで面をならす

へこみや歪みがある場合は、鈑金で形を戻します。へこんだ鉄板を裏から押し出したり、表から引き出したりして、元の面に近づけていく作業です。バンパーのような樹脂パーツでは、樹脂の性質に合わせて形を戻します。
鈑金だけで元の面にぴったり戻すのは難しく、わずかな凹凸は残ります。そこを埋めてならすのがパテです。パテは粘土のような充てん材で、へこみに盛って固めたあと、削って周りの面とつながるように整えます。パテにはへこみの深さに応じた種類があり、使い分けについては厚付けパテと薄付けパテの使い分けで詳しく扱っています。
池内自動車では、パテは乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けて固めています。固まったら研いで面を出し、手のひらでなでたり、光を斜めに当てたりして、波打ちが残っていないかを確かめます。
この工程の出来が、完成したときの見た目を大きく左右します。塗装は表面の形をそのまま映すので、ここで残った小さな段差は、塗ったあとの映り込みの歪みとして現れます。
傷が表面のクリアにとどまり、パネルの形が変わっていない場合は、この工程は通りません。
工程3 サフェーサー:塗装がきちんと乗る下地をつくる

パテで面が整ったら、サフェーサーを塗ります。サフェーサーは下塗りの一種で、パテや地金の上にかぶせて、塗装が乗るための均一な下地をつくる役割を持っています。
パテを研いだあとの面は、パテの部分と元の塗装の部分、場合によっては地金が見えている部分が混ざっています。そのまま色を塗ると、下の材料の違いで塗料の吸い込み方やツヤが変わり、ムラの原因になります。サフェーサーで全体を覆うと、表面の状態がそろいます。研いだときにできた細かい傷を埋める役目もあります。
サフェーサーが乾いたら、表面をもう一度研いでならします。塗装の前に研ぐ理由は、下塗りのあとに研ぐ理由にまとめています。下地処理そのものの考え方を知りたい方は、塗装前の下地処理の役割も参考になります。
研ぎ終えたら、塗料が付いてはいけない場所を紙やテープで覆うマスキングをして、表面の油分やほこりを落とします。ここまで終われば、色を塗る準備が整います。
工程4 塗装:テスト板で色を確かめてから、色を塗る

いよいよ色を塗る工程です。車の色はカラーコードで管理されていて、そのコードをもとに塗料を配合して色をつくります。ただ、同じコードでも車は日光や雨風で少しずつ色が変わっていくので、配合どおりに作った色がそのまま合うとは限りません。
そこで池内自動車では、実際の車に塗る前に、テスト板に塗って色を確かめる工程を標準にしています。テスト板を車の横に当て、見る角度や光の当たり方を変えながら、周りの色と差がないかを見ます。色の配合の仕組みは調色(色合わせ)の仕組みで詳しく扱っています。
色が確かめられたら、修理した部分に色を塗り重ねます。周りの塗装とのあいだに色の差が出る場合は、ぼかし塗装で、隣のパネルに向けて塗料を薄く広げて境目をなじませます。1回で周囲と色が合えば、ぼかし塗装は行いません。車の塗装の状態を見て判断します。
仕上がったあとに色の違いが気になった場合の考え方は、板金塗装で色が合わないときの原因と伝え方にまとめています。
工程5 クリア:色の上に透明な層を重ね、乾燥させる

色を塗ったら、その上に透明なクリアを重ねます。一般的な車の塗装は、色の層の上にクリアの層がある構造になっていて、ツヤを出すことと、色の層を紫外線や汚れから守ることを受け持っています。修理した部分にも、元の塗装と同じ構造をつくるためにクリアを塗ります。
クリアの役割や、クリアがはがれるときに何が起きているのかは、クリア塗装の役割と剥がれる仕組みで扱っています。
クリアを塗り終えたら、塗装を乾燥させます。池内自動車では、パテと同じく塗装も乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。乾燥が不十分なまま次の工程に進むと、磨いたときに表面が荒れたり、あとから不具合が出たりします。乾燥と焼付の考え方、急がせたときに起きることは、塗装の乾燥・焼付にかかる日数にまとめています。
工程6 磨き:表面を整えて、周りとツヤをそろえる
乾燥した塗装面は、塗った直後のままでは、表面に細かい凹凸や小さな粒が残っていることがあります。それを整えて、周りの塗装とツヤや肌の質感をそろえるのが磨きの工程です。
磨きでは、表面をごくわずかに削ってならします。削りすぎるとクリアが薄くなるので、必要なところを必要なだけ磨くのが基本です。どこまで磨いてよいかの考え方は、磨きで塗装が薄くなる仕組みと限界で扱っています。
磨きが終わったら、マスキングを外し、塗料がほかの場所に飛んでいないか、磨いたあとの粉が隙間に残っていないかを確かめます。磨きはここまでの工程で残った小さなあとを整える工程で、下地の段差や色の違いを消すものではありません。前の工程をきちんと踏んでいることが、磨きを最小限で済ませることにもつながります。
工程7 完成・納車:部品を戻し、受け取りのときに一緒に確かめる

最後に、外していたランプやモールなどの部品を元に戻し、開け閉めする部分があれば動きを確かめます。車全体を見て、修理した箇所だけが浮いて見えないかを確認したら完成です。
受け取りのときは、直した箇所を正面からだけでなく、斜めから見てください。塗装面に映り込む景色や照明の線がまっすぐかどうかを見ると、面の歪みや表面の凹凸に気づきやすくなります。気になる点があれば、その場で担当者に同じ場所を同じ角度で見てもらうのが確実です。
引き取り・納車を利用した場合は、車がご自宅などに届いたあとに見ることになります。そのときは、明るい時間帯に見て、気になる箇所があれば写真を撮って早めに連絡してください。
預けてから戻るまでの時間:表面の傷なら最短当日
ここまでの工程を聞くと、何日も預ける必要があると感じるかもしれません。実際には、塗装の範囲で収まる傷であれば、池内自動車では最短当日で仕上げています。修理前の確認から磨きまでを、同じ日のうちに順番に進めるということです。
時間がかかるのは、車の骨格(柱や土台の部分)そのものが動いている場合です。骨格の修正が入ると、数日かかります。部品を交換する場合も、部品が届くまでの時間がかかります。
早く仕上げられる理由は、工程を省いているからではありません。新車の塗装と見分けがつかない状態を目指して必要以上に工程を重ねるのではなく、普段の使い方で見て気にならない状態、しっかり直っている状態を仕上がりの目安にしているからです。過剰にやらないぶん、時間と費用を抑えられます。修理の日数について傷の種類ごとに知りたい方は、車の傷修理は即日でできるかの判断基準も参考にしてください。
傷の深さによって、通る工程の数が変わる
ここまで全工程を順番に説明してきましたが、実際の修理でどこから作業が始まるかは、傷の深さと形の変わり方で決まります。
表面のクリアにとどまる浅いすり傷であれば、鈑金やパテは要りません。傷のまわりを整えて、色とクリアを塗り、磨いて仕上げる流れになります。色の層まで削れている傷では、へこみがなくても、削れた部分を埋めて面をそろえてから下地づくりに進みます。
塗装が剥がれて下地の鉄板や樹脂が見えているえぐれ傷や、パネルがへこんでいる場合は、鈑金・パテから始まり、この記事で紹介した工程をひととおり通ります。工程が増えるほど作業の時間も材料も増えるので、見積もりの金額が変わります。
見積もりを受け取ったら、「この傷はどの工程から始まるのか」を聞いてみると、金額の理由が見えやすくなります。同じ大きさの傷でも、浅いすり傷とへこみを伴う傷とでは、通る工程がまったく違うからです。
よくある質問
Q. 引き取り・納車と代車は、どちらを選べばよいですか
修理のあいだも車が必要かどうかで選ぶと決めやすくなります。通勤や買い物で毎日車を使うなら代車、預けているあいだ車がなくても困らず、店舗まで運ぶ手間を省きたいなら引き取り・納車が向いています。どちらも利用できる条件は、見積もりと入庫の項で触れたとおりです。
Q. 見積もりのあとで、作業内容が変わることはありますか
写真だけでは見えなかった傷の深さや、内側の損傷が入庫後に見つかることがあります。その場合は作業を進める前に説明を受けて、追加の修理をするかどうかを決めます。伝える写真が多いほど、こうした変更は少なくなります。
Q. 塗装したばかりの車は、すぐに洗車してもよいですか
修理直後の塗装は、見た目は仕上がっていても、完全に落ち着くまでには少し時間がかかります。受け取ってしばらくは、強くこする洗車や高圧の水を近くから当てるのは避けたほうが安心です。いつから普段どおりに洗ってよいかは、受け取りのときに担当者へ確かめておくと確実です。
Q. 全工程を自分でやることはできますか
市販の道具で真似ることはできても、パテの面出しや色合わせ、乾燥の管理は、仕上がりに差が出やすい工程です。途中でうまくいかなかった場合、プロに頼むときに一度はがしてやり直すことになり、かえって費用がかさむこともあります。小さな傷でも、まずは見積もりで状態を見てもらってから判断するのがおすすめです。
池内自動車の板金塗装について
池内自動車は、ボディの板金塗装に専門を絞り、設備と体制をそこに集中させています。仕上がりの目安は、新品同様ではありませんが、しっかり直っている状態です。この記事で紹介した工程を順番に踏みながら、必要以上に重ねないことで、早さと安さを両立させています。
料金の目安は、バンパー等の樹脂パーツのすり傷(10cm以内)で3,300円〜(税込)です。ドア・フェンダー等の鉄板パーツでは、すり傷(10cm以内)が25,000円〜(税込)、へこみ(10cm以内)が37,000円〜(税込)になります。すり傷の料金はクリア塗装までの浅い傷が対象で、えぐれ傷は別料金です。車種やボディカラーによる割増はありません。部位と大きさごとの金額は部位別・大きさ別の料金表で確認できます。
実際にどのような傷が、どのように直って戻ってきたのかは、これまでの修理事例に写真つきで載せています。自分の傷に近い事例を探してみると、仕上がりの見当がつきやすくなります。
全店が年中無休で夜20時まで営業しています。無理な営業はしていないので、見積もりだけのご相談も歓迎です。傷の写真を送って無料見積もりを依頼すると、どの工程から始まる修理なのかも含めてお伝えします。
まとめ:見積もりのときに「どの工程から始まるか」を聞く
板金塗装は、修理前の確認、鈑金・パテ、サフェーサー、塗装、クリア、磨きを順番に経て、完成・納車に至ります。どこから始まるかは傷の深さと形の変わり方で決まり、それが金額と預ける時間の違いになります。
これから修理を頼むなら、まず傷の写真を、寄った1枚と引いた1枚で用意してください。見積もりを受け取ったら、どの工程から始まる修理なのか、部品の交換が要るのかを聞いておくと、金額と日数に納得しやすくなります。受け取りのときは、直した箇所を斜めから見て、映り込みがまっすぐかどうかを確かめてください。
まずは写真を送るだけの60秒見積もりで、今の傷がどの段階の修理になるのかを確かめてみてください。
読んだ内容で迷ったら、
写真を1枚送ってみてください。
傷の程度は写真を見れば判断できます。入力は60秒、回答は原則10分以内。
修理は最短当日で仕上がります。ご来店での見積もりも無料です。
※バンパーのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)/20cm以内 6,000円〜(税込)
日守翔吾
大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。
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