板金のパテは厚付けと薄付けをどう使い分ける?役割の違いと、自分の傷で使われるかの見分け方

更新日:2026/09/11 | 公開日:2026/09/11

板金塗装全般

板金のパテは厚付けと薄付けをどう使い分ける?役割の違いと、自分の傷で使われるかの見分け方

見積もりのときに「パテを入れて成形します」と言われて、そのまま聞き流してしまった。あとで調べたら、板金パテ、ポリパテ、薄付けパテと似た名前が並んでいて、どれが何なのか結びつかない。パテという言葉は板金塗装の説明によく出てくるのに、中身は伝わりにくい部分です。

種類の一覧を見ても、自分の車の傷にどれが使われるのかは分かりません。そもそも自分の傷にパテが入るのかどうか、手前でつまずきます。

板金塗装を扱っている立場から、厚付けと薄付けが分かれている理由、どの損傷でどこまで使われるのか、パテを使わずに直す場合との境目を整理します。どの製品を買えばよいかという選び方は板金パテの種類とDIYでの盛り方にまとめてあるので、自分で作業する方はそちらを見てください。

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パテは塗料ではなく「形を作る材料」

パテは色を付けるためのものではありません。削られる前提で盛る、形を作るための材料です。

板金塗装は、おおまかに次の順で進みます。

1. 傷や凹みの状態を確認して、古い塗膜を落とす

2. 変形があれば板金で形を戻す

3. パテを盛って、削って面を出す

4. サフェーサー(下塗り)を吹いて、色が乗る土台を作る

5. 車体の色に合わせて塗料を作り、塗る

6. 表面を整えて仕上げる

パテが登場するのは3番目です。ここで面が出ていないと、あとの工程でどれだけ丁寧に塗っても凹凸がそのまま残ります。塗料の膜は薄いので、へこみを埋める役には立ちません。

盛ったパテは硬化させてから削ります。当社ではパテも塗装も乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。表面だけ乾いた状態で削ってしまうと、あとから内部が縮んで輪郭が浮いてくるためです。

厚付けと薄付けは「肉を盛る」と「肌を整える」で役割が分かれる

パテが何種類もあるのは、材料の性質として「厚く盛れること」と「表面がきめ細かいこと」がほぼ両立しないからです。

粒子や骨材を粗くすると、たっぷり盛っても垂れず、硬化後の強度も出ます。その代わり削った面には細かい穴(ピンホール)や研ぎ目が残ります。きめを細かくすれば滑らかな面が出ますが、厚く盛ると乾ききらず、あとで縮みます。

そこで、粗いものを先に、細かいものを後に重ねる形になります。

種類通称主な役割得意なこと苦手なこと
厚付けパテ板金パテ失われた肉を盛って形の下地を作る深い凹みや削り込んだ部分を埋める表面の肌が粗く、細かい穴が残る
中間パテポリパテ厚付けの上をならして面をそろえるある程度の肉盛りと肌の細かさを両立する単独で深い凹みは埋めきれない
薄付けパテ仕上げパテ研ぎ目やピンホールを消す最後の微細な凹凸を埋める厚く盛れない

3種類すべてを使うわけではありません。損傷が浅ければ中間から始めますし、板金で形がしっかり戻っていれば薄付けだけで足りることもあります。何を何回使うかは、削って面を確認しながら決めていく部分です。

「厚付けを使ったから雑」「薄付けだけだから手を抜いた」という関係ではないと押さえておいてください。損傷に対して必要な材料を選んでいるだけです。

素材が違えば、使うパテも変わる

車のドアとサイドにパテを付けた板金塗装の途中

バンパーと鉄板パネルでは、同じパテを使いません。素材の動き方が違うためです。

樹脂バンパー

バンパーは走行中の風圧や気温でわずかにたわみます。硬いパテを盛ると、たわみに追従できず縁から割れて剥がれます。そのため柔軟性を持たせたバンパー用のパテを使います。素地が黒い樹脂なので、密着させるための下処理も鉄板とは別に必要です。

ドア・フェンダーなどの鉄板パネル

鉄板は面としてたわまないため、硬さのあるパテを使えます。ここで気をつけるのは錆です。地金が出た状態にそのままパテを盛ると、内側から錆が進んで数年後に膨らみます。錆を落とし、下地を処理してから盛る順番になります。

裂けた部分や強度が要るところ

ガラス繊維が入ったファイバーパテを使う場面もあります。欠けた縁を裏から支えるような、形を保たせたい箇所です。

素材が違えば料金の出発点も変わります。当社は樹脂パーツと鉄板パーツで料金表を分けており、区分は部位と損傷ごとの修理料金の目安で確認できます。

自分の傷にパテが入るかは「塗膜で止まっているか」で決まる

ここが分かれ目です。パテを使う修理と使わない修理は、傷の深さで分かれます。

傷の状態自分で見分けるサイン使う工程
塗膜の表層で止まっている爪が引っかからない。水で濡らすと見えなくなる研磨や磨き、または部分的な塗装。パテは使わない
塗装が剥がれて素地が出ているバンパーなら黒い樹脂、鉄板なら銀色の地金が見える。茶色い点が出ていれば錆が始まっている古い塗膜を落としてパテで面を作り、サフェーサーから塗り直す
へこみ・変形がある光を当てると影が歪む。面を撫でると波を感じる板金で形を戻したうえで、残った差をパテで整える
割れ・欠けがある縁が欠けている。裏側から光が透ける補修するか部品を替えるかの判断から入る

濡らすと消える傷は、クリア層の中に線が入っているだけの状態です。この段階なら削って磨けば戻ります。どこまで磨きで対応できるかは磨きで塗装が薄くなる限界の見きわめ方で解説しています。

当社の料金でいうと、バンパーなど樹脂パーツのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)は、クリア塗装までの浅い傷を対象にした金額です。塗装が剥がれて下地が見えているえぐれ傷は別料金になります。パテが入る領域は、このえぐれ傷から先だと考えてください。

素地が出たまま置いておくと、鉄板は錆び、樹脂は紫外線で傷みます。進み方は傷を放置するとどうなるかにまとめました。

へこみをパテだけで埋めるのは近道にならない

「板金で形を戻すより、パテで埋めたほうが早くて安いのでは」という質問をいただきます。結論としては、そうなりません。

厚く盛ったパテには、次のことが起きます。

- 硬化のときに縮むため、時間が経つと埋めた輪郭が浮いて見える

- 塗膜の下で割れて、線状のヒビが出る

- 重量が増えて、開閉する部品では動きに影響が出る

- ぶつけたときに、パテの塊ごと欠けて落ちる

先に板金で形を戻すのはこのためです。裏から起こしたり表から引いたりして面を戻し、それでも残る細かい差をパテで整えます。パテは板金の代わりではなく、板金の仕上げに位置しています。

自分でパテを盛ったあとに持ち込まれる場合、まずその層を落とす作業から始まります。上から塗料を重ねても、下が縮めば同じことが起きるためです。落とし方は自分で盛ったパテを安全に剥がす方法で扱っています。

板金で戻しきれないほど大きな損傷については、新品または中古の部品と交換する対応もしています。どちらが費用と日数の面で有利かは、状態を見たうえでお伝えします。

パテの後の工程が抜けると、埋めた跡が浮いてくる

パテを削って面が出たら終わり、というわけではありません。

パテは塗料を吸い込む素材です。そのまま色を塗ると塗料が吸われ、ツヤが引けて周囲と質感が変わります。そこでサフェーサーを吹き、吸い込みを止めて色が乗る土台を作ります。サフェーサーには素地への密着を確保する役目もあります。下塗りの働きは上塗りの前に下塗りが必要な理由で詳しく扱っています。

乾燥も工程の一部です。自然乾燥では内部に溶剤が残り、あとから縮んで輪郭が出ます。当社はパテと塗装のどちらも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けているため、削る段階で内部まで固まった状態になります。

塗る色は、カラーコードどおりに作っても周囲と差が出ることがあります。日焼けの程度が車ごとに違うためです。当社では作った色をテスト板に塗って乾かし、実車と見比べてから本塗りに入ります。それでも差が残る場合は、隣のパネルまで塗料を薄く広げるぼかし塗装でなじませます。色を作る手順は調色(色合わせ)の仕組みにまとめました。

パテを使った修理がどの程度まで戻るのかは、修理事例の写真と費用で確かめられます。

費用は「パテの量」ではなく損傷の種類と大きさで決まる

【車のパテ埋め】穴あき補修のやり方は?DIYの「埋めるだけ」が超危険な理由と、プロの確実な修復術

パテをどれだけ使ったかで金額が動くわけではありません。当社は部位と損傷、そして大きさで料金を決めています。

バンパー等の樹脂パーツ(税込)

損傷10cm以内20cm以内20cm以上
すり傷3,300円〜6,000円〜10,000円〜
へこみ18,000円〜24,000円〜34,000円〜
割れ37,000円〜——

ドア・フェンダー等の鉄板パーツ(税込)

損傷10cm以内20cm以内20cm以上
すり傷25,000円〜37,000円〜46,000円〜
へこみ37,000円〜46,000円〜58,000円〜

車種やボディカラーによる割増はありません。外車でも、パールでも、メタリックでも同じ料金表です。

鉄板パネルを2枚以上まとめて直す場合は、セット割引の対象になります。バンパーなどの樹脂パーツは対象外です。他社の正式な見積書をお持ちいただいた場合は相見積もり割引も適用します(自動車保険を使う修理には適用されません)。

修理工賃(部品代を除く作業費用)が税込50,000円以上になる場合は、無料の引き取り・納車か、代車の無料貸し出しのどちらか一方をご利用いただけます。

日数については、パテが入る修理でも当日中に終わる範囲があります。当社はキズ・ヘコミの修理を最短当日で承っています。金額と日数を先に知りたい場合は、写真を送って修理費用と日数を確かめるところから始めるのが早い進め方です。

よくある質問

Q. パテを使わずに直してもらえますか

傷が塗膜の表層で止まっていれば、研磨と塗装で対応できます。素地が出ている場合や面が凹んでいる場合は、面を作る工程が必要になります。実車を見て切り分ける部分です。

Q. パテを入れた箇所は何年くらい持ちますか

工程どおりに乾燥させて塗装で封じてあれば、周囲の塗膜と同じように使えます。早く症状が出るのは、乾燥が足りなかった場合か、厚く盛りすぎた場合です。劣化の出方は板金パテの種類とDIYでの盛り方でも触れています。

Q. 厚付けパテだけで仕上げることはありますか

表面の肌が粗いままだと、塗ったあとに研ぎ目が浮いて見えます。人目に付かない裏側などを除き、細かいパテで肌を整える工程が入ります。

Q. 自分で盛ったパテの上から塗ってもらえますか

下の層が縮めば上も動くため、原則として落としてから作り直します。落とす範囲は状態によりますので、自分で盛ったパテを安全に剥がす方法を読んだうえでご相談ください。

Q. パテを使うと修復歴になりますか

修復歴は、車体の骨格にあたる部位を交換または修正したかどうかで判定されます。パテを使ったかどうかで決まるものではありません。どの部位が判定に関わるのかは修復歴になる部位とならない部位の一覧で確認できます。

Q. 見積書に「パテ」と書かれていません。使わないという意味ですか

書き方は工場によって違います。作業の内訳を細かく書く場合もあれば、部位ごとの料金だけを示す場合もあります。気になるときは「パテを入れる範囲はどこまでですか」と聞いてみてください。

池内自動車の板金塗装について

高崎で車の板金塗装・修理が安い業者は?費用相場と選び方を徹底解説

池内自動車は板金塗装を専門にしている修理チェーンです。全国35店舗で、年間39,000台以上の修理を扱っています。

料金は部位と損傷ごとに定めており、バンパーなど樹脂パーツのすり傷(10cm以内)は3,300円〜(税込)、ドアやフェンダーなどの鉄板パーツは10cm以内のすり傷で25,000円〜(税込)から承っています。塗装が剥がれて下地が見えているえぐれ傷は別料金です。

パテと塗装はどちらも乾燥設備(ヒーター等)で焼き付けています。仕上がりを限界まで追い込むために時間と費用を積み上げるのではなく、しっかり直った状態に必要な工程だけを踏みます。新品同様ではありませんが、過剰にやらない分だけ、早く、安く、最短当日で車をお返しできます。全店年中無休で、夜20時まで受け付けています。

見積もりは写真を送るだけで、60秒程度で終わります。原則10分以内に回答し、超えた場合は1,000円割引します。

なお池内自動車は、ボディの板金塗装に専門を絞り、設備と人をそこに集中させています。ボディのキズ・ヘコミ・塗装のことでしたら、まずご相談ください。

まとめ

パテは色を付ける材料ではなく、塗る前に面を作る材料です。厚付けは肉を盛る役、薄付けは最後の凹凸を消す役で、粗いものから細かいものへ重ねていきます。素材によっても選ぶパテが変わり、たわむバンパーには柔軟性のあるものを使います。

自分の傷にパテが入るかどうかは、塗膜で止まっているかで決まります。爪が引っかからず、濡らすと消える傷なら磨きの範囲です。素地が見えていたり面が凹んでいれば、面を作る工程が入ります。

金額はパテの量ではなく、部位と損傷、大きさで決まります。自分の車がどちらの範囲なのかを知りたいときは、傷が分かる角度の写真を撮って送るところから始めてください。実車を見ないと決まらない部分は、そのようにお伝えします。

あ、キズ直そ。写真を送るだけ、60秒でお見積もりします。

読んだ内容で迷ったら、
写真を1枚送ってみてください。

傷の程度は写真を見れば判断できます。入力は60秒、回答は原則10分以内。
修理は最短当日で仕上がります。ご来店での見積もりも無料です。

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※バンパーのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)/20cm以内 6,000円〜(税込)

監修者情報
株式会社イケウチ 技術部長 日守翔吾
株式会社イケウチ 技術部長
日守翔吾

大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。

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