板金塗装とは?価格相場・期間・保険利用・DIYまで徹底解説
更新日:2024/11/22 | 公開日:2021/05/27
板金塗装とは、事故などで破損した車のへこみや歪みを修復・塗装して元通りに直すことです。
板金塗装は、英語で「bodywork&paint」と表記され、外国人客向けに「BP」という看板を掲げている業者もあります。
板金塗装には高い技能と労力が必要なので、高額な費用と長い修理期間が必要になることがあります。
板金塗装の費用は修理業者によって異なるので、業者の選び方や価格相場を知っておくことが大切です。
また、板金塗装の費用を節約するにはDIYも有力な方法の1つです。
そこで
■板金塗装とは?
■板金塗装の費用相場
■板金塗装にかかる期間の目安
■板金塗装の見積もりはどこに依頼するのがベスト?
■板金塗装のDIY
など、板金塗装の気になる事柄について徹底解説。
車の傷やへこみ、塗装はがれが気になるけれど、
「板金塗装ってよくわからない…」
「板金塗装ってどれぐらい費用や期間がかかるの?」
「ディーラー・カー用品店・修理工場…どこに頼むのが一番いい?」
「板金塗装ってDIYできるの?」
など、板金塗装についての疑問をすべて解消します。
車の傷やへこみでお悩みの方や、板金修理を検討されている方は、ぜひご参考にしてください。
板金塗装とは?どんな時に必要?
板金塗装は、車に傷・へこみ・塗装の剥がれなどを元通りに戻す作業です。
走行中に小石が飛んでバンパーが傷付いたり、駐車場の柱にドアをぶつけてへこんだり…
車を使っていれば、大きな事故に巻き込まれなくとも、何かしら傷やへこみはつくものです。
そんな時に車の傷やへこみなどを修理し、見た目や安全性も元通りにするのが板金塗装です。
板金塗装で修理を行う場合は、板金塗装の価格と、車の市場価格を比較検討することが必要です。
板金塗装の費用は、損傷した箇所や損傷の度合いによって異なりますが、想像以上に高額になったり、修理期間が長くなることがあります。
そのため、板金修理を行う場合は、先ず修理費用と車の市場価格を比較検討することが必要です。
小さな傷やへこみであれば板金塗装の費用は1万円以内で済みますが、損傷が大きい場合は車種によっては100万円近くかかってしまうことも。
車は高価な商品ですが、年式が古くなると修理費用が車の市場価格を超えてしまうことも珍しくありません。
そのため、板金塗装で修理をするより、新たに車を購入する方がコストパフォーマンスが高い場合もあるのです。
もちろん、愛着のある車やビンテージカーなど、買い替えができない車であれば、金額の大小に関わらず板金塗装を選ぶ必要があります。
一般的な板金塗装の費用相場
車の板金塗装は、オイル交換のような簡単な作業ではなく、損傷箇所の修復から塗装に至るまで、複雑な工程が必要になります。
また、車のバンパーは樹脂素材、ドアやボンネットは薄い鋼板で作られています。
そのため、板金塗装には部品の素材に応じた修理を行う技能や経験が求められます。
さらに、板金塗装には専用の工具や作業環境、設備が必要なので、小さな傷でも修理代が高額になるのです。
板金塗装は修理内容だけでなく、修理を行う業者によって修理費用が異なります。
例えば多くのディーラーでは、小さな傷傷については、作業工程を簡素化して価格を抑えた簡易板金という修理サービスを提供しています。
簡易板金は、傷を目立たなくするだけの修理なので、耐久性や出来栄えは本格板金に及びませんが、その分塗装修理代を安く抑えているのです。
修理のクオリティと修理価格は、トレードオフの関係です。何を優先して何を妥協するかを、予め依頼先の業者に伝えておきましょう。
例えば
・納車して間もない新車であれば、費用が高くても高品質の本格板金で依頼する
・年式が古く、買い換えが近い車であれば、費用を抑えた簡易板金で修理する
ということが考えられます。
板金塗装はどこに見積もりをとる?修理価格が安いのは?
板金塗装を行う主な業者は
・ディーラー
・自動車修理工場
・カー用品店
などです。
業者によって板金塗装の方法から価格、修理期間が異なるため、それぞれの特徴を把握して見積もりをとることが大切です。
ディーラー
ディーラーは修理費用が高く、修理期間も長くなりますが、高品質な仕上がりが期待できます。規模の大きなディーラーは自前の修理工場や設備を持っており、高い修理技術を保持しているのが特長です。
規模の小さなディーラーは、外部の自動車修理工場とに板金塗装を外注しています。
ディーラーはメーカーの純正部品を修理に使用し、外注修理の際には中間マージンを取るので、その分が修理費用に上乗せされます。
修理価格は高くなっても、修理品質を重視する人は、ディーラーに依頼するのがお勧めです。
カー用品店
板金塗装はカー用品店でも受注しており、小さな傷であれば自店で修理を行っています。
カー用品店は店舗数が多く、買い物ついでに気軽に立ち寄れるのが特徴です。
車の損傷が大きい場合は、ディーラーと同様に自動車修理工場に板金塗装を外注しています。
修理費用はディーラーより安く済みますが、自動車修理工場より高額です。
自動車修理工場
自動車修理工場は板金塗装の専門業者であり、主に保険会社からの事故車の修理やディーラーから板金塗装作業を受注しています。
自動車修理工場に直接依頼すれば、中間マージンが不要なので、ディーラーより安い価格でディーラー並みの高品質な修理を受けることができます。
板金塗装の価格を安くする3つのポイント
板金塗装の価格を安くするには、次の3つのポイントが重要です。
1.板金塗装は早めに依頼する
2.自動車修理業者を利用する
3.複数の業者に見積もりを依頼する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
板金塗装は早めに依頼する
板金塗装による修理が必要になるのは事故の他、跳ね上げた小石でボディやバンパーが傷付いたり、へこみが生じた場合です。
こうした傷やへこみを放置していると、塗装が剥がれてサビが発生し、余分な修理費用がかかることがあります。
修理費用や修理期間を抑えるため、板金塗装は早めの依頼を心がけましょう。
自動車修理業者に板金塗装を依頼する
板金塗装は、自動車修理業者に依頼するのが最も安上がりです。
ディーラーは修理の信頼性は高いのですが、作業を外注したり純正部品を使用するため修理費用が割高になります。
自動車修理業者に直接依頼すれば、費用を抑えることが可能です。
複数の板金塗装業者に見積もりを依頼する
板金塗装の価格は、同じ箇所を修理する場合でも、業者によって異なります。
主な箇所の業者ごとの修理代の相場は次のとおりです。
バンパーの擦り傷の修理代相場
バンパーの擦り傷(10cm以内) | バンパーの擦り傷(10cm~ 20cm以内) | バンパーの擦り傷(20cm以上) | |
ディーラー | 15,000円〜25,000円 | 25,000円〜40,000円 | 40,000円〜50,000円超 |
カー用品店 | 10,000円〜20,000円 | 20,000円〜30,000円 | 30,000円超 |
自動車修理工場(*) | 3,300円均一 | 3,300円均一 | 30,800円均一 |
フェンダーの擦り傷の修理代相場
フェンダーの擦り傷(10cm以内) | フェンダーの擦り傷(10cm~ 20cm以内) | フェンダーの擦り傷(20cm以上) | |
ディーラー | 最低40,00円〜 50,000円 | 最低50,00円〜60,000円 | 60,000円超 |
カー用品店 | 30,000円前後 | 40,000円前後 | 60,000円超 |
自動車修理工場(*) | 19,800円均一 | 25,300円均一 | 30,800円均一 |
*リアフェンダーは車体と一体化しているため、作業工程が複雑になり、上表より修理代が高くなることがあります。
ドアの擦り傷の修理代相場
ドアの擦り傷(10cm以内) | ドアの擦り傷(10cm~ 20cm以内) | ドアの擦り傷(20cm以上) | |
ディーラー | 30,000円〜 40,000円 | 40,000 円〜 60,000円 | 〜100,000円 |
カー用品店 | 10,000円〜 25,000円 | 25,000円〜 50,000円 | 〜80,000円 |
自動車修理工場(*) | 19,800円均一 | 25,300円均一 | 30,800円均一 |
ボディの擦り傷の修理代相場
ボディの擦り傷(10cm以内) | ボディの擦り傷(10cm~ 20cm以内) | ボディの擦り傷(20cm以上) | |
ディーラー | 30,000円〜40,000円 | 35,000円〜45,000円 | 45,000円〜 |
カー用品店 | 20,000円〜30,000円 | 25,000円〜35,000円 | 35,000円〜 |
自動車修理工場(*) | 19,800円均一 | 25,300円均一 | 30,800円均一 |
バンパーのへこみ傷の修理代相場
バンパーのへこみ(10cm以内) | バンパーのへこみ(10cm~ 20cm以内) | バンパーのへこみ(20cm以上) | |
ディーラー | 20,000円〜30,000円 | 30,000円〜40,000円 | 40,000円〜(傷の大きさによる) |
カー用品店 | 20,000円前後 | 30,000円前後 | 40,000円〜(傷の大きさによる) |
自動車修理工場(*) | 12,100円均一 | 16,500円均一 | 23,100円均一 |
ドアのへこみ傷の修理代相場
ドアのへこみ(10cm以内) | ドアのへこみ(10cm~ 20cm以内) | ドアのへこみ(20cm以上) | |
ディーラー | 60,000円以上 | 70,000円以上 | 80,000円超(程度による) |
カー用品店 | 40,000円〜 | 40,000円〜50,000円以上 | 60,000円超(程度による) |
自動車修理工場(*) | 25,300円均一 | 30,800円均一 | 39,600円均一 |
上記以外の箇所の修理代の相場は以下のとおりです。
・ボンネットの傷
小さな傷の場合 50,000円程度
傷が大きい場合 50,000円+α
・サイドミラーの傷
部品交換の場合 10,000円〜15,000円
ミラー部分の交換 1,000円〜 3,000円
修復と部品交換
板金塗装の費用は損傷箇所を修復するか、それとも部品を交換するかによって大きく変わります。
例えばバンパーを交換すると、部品代の他にバンパーの取り付け・取り外し作業が必要になり、10万円近い費用がかかります。
また、フォグランプなどバンパー周辺の電装部品の調整が必要になる場合もあります。そのため、通常は部品交換より修復する方が費用が安くなります。
ただし、損傷が大きい場合や、修理後の見栄えを良くしたい場合は、部品交換をお勧めします。
修理費用を抑えることにこだわると、修復箇所の劣化が早くなったり、耐久性が低下することがあるので注意が必要です。
そのため、修理見積もりを依頼する場合は、修復する場合と部品を交換する場合の修理代と日数を比較できるようにしてもらいましょう。
また、修理依頼の際は予算を伝えておくと、それに合わせた対応が行いやすくなります。
最近はネットで板金塗装価格の見積もりを行っている業者もあります。
激安修理をモットーにしている池内自動車では、ホームページの問い合わせフォームから板金塗装の費用見積もりを24時間受け付けています。
破損箇所の写真があれば、より正確な修理価格の見積もりができます。
板金塗装の見積もり先を探している人は、ぜひ一度池内自動車のネット見積もりを利用してみてください。
車の修理代の目安について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ⇒
板金塗装に自動車保険を利用する場合の注意点
板金塗装は高額な費用がかかるので、自損事故の場合は、車両保険を利用する人も多いでしょう。
車両保険に加入した方がよい人
任意保険の加入率は90%以上ですが、車両保険は保険料が高いので加入率は50%程度に留まっています。
例えば、トヨタプリウスの新車を購入して初めて任意保険に加入する人であれば、車両保険に加入すると年間の支払い保険料は10万円近いです。
ただし、次に該当するような人は事故を起こすリスクや事故による損害が大きいので、保険料が高くても事故車両保険に加入することをお勧めします。
・免許を取り立ての人や運転経験が浅い人
⇒運転未熟、過失による自損事故を起こしやすい
・高級車や輸入車を運転している人
⇒事故による修理代が高額になる
・スポーツカーや高級SUVを運転している人
⇒中古車市場での人気が高く、盗難被害に遭うリスクが高い
・その他高額なローンを組んで新車を購入した人や、水害が多発する地域に居住している人
自動車保険の加入方法
ディーラー、中古車販売店、自動車整備工場などドライバーとの関わりの大きい業者は、損害保険会社の代理店になって自動車保険を販売していることが多いです。
こうした代理店を経由して加入すると、保険の更新や保険金請求の手続きと車の修理を任せることができます。
また、最近は電話やインターネットで加入手続きを行え、保険料が安い通販型の自動車保険も普及しています。
板金塗装に必要な修理期間・日数
小さな傷であれば板金塗装は1日で済みますが、損傷が大きい場合は1週間近くかかることもあります。
また、次のような場合は通常より板金塗装にかかる日数が長くなるので注意が必要です。
保険を利用する場合
保険を利用して修理する場合、保険会社は修理工場に出向き、車の破損状況を調査して損害額を算出します。
修理工場は、保険会社が算出した損害額を基に、修理内容や価格について協定を結ぶ必要があるのです。
保険を利用した場合は、こうした手続きに時間がかかるため、修理日数が長くなる傾向があります。
板金塗装に使用する部品在庫が無い場合
年式が古い車や中古部品を使用して修理を行う場合は、メーカーに部品在庫が無いことがあります。
こうした場合は、部品の調達に時間がかかるため、修理期間が長くなります。
板金塗装の繁忙期
ゴールデンウィーク後など車の交通量が増えたり、雪が少ない地域に大雪が降ったりした後は、事故の件数も増えます。
事故の件数が増えると板金塗装の依頼が混みあうため、日数も長引きます。
板金塗装のDIYは可能?
板金塗装を専門業者に依頼すると、価格が高額になったり修理期間が長引くことがあります。
そのため専門業者に依頼せず、板金塗装をDIYで済ませたいと考える方も多いのではないでしょうか。
DIYで板金塗装できる傷の見極め方や、メリット・デメリットを解説します。
板金塗装DIYのメリット・デメリット
カー用品店にはDIYのコーナーがあり、傷やへこみを自分で修理するためのキットが販売されています。
小さな傷やへこみであれば、DIYで板金塗装を行うことは不可能ではありませんし、上手く修復できれば最も安く修理ができます。
ただし板金塗装をDIYで行うには、高い技術と経験が必要です。
DIYに失敗すると修理箇所から錆びが発生して、結局業者での板金修理が必要になり、余分な費用がかかってしまうこともあります。
DIYによる板金塗装が可能かどうかの見極め方
小さな傷やへこみであれば、DIYは可能ですが、損傷が大きかったり部品を交換する必要がある場合は困難です。
例えば部品を交換する場合は、脱着作業や取り付けた部品の塗装が必要ですが、こうした作業は専門業者でなければ難しいでしょう。
また、小さな傷に見えても内部の電気系統やセンサーがダメージを受けて故障していることもあります。
DIYで修復可能な損傷かどうかを完全に見極めることは困難です。
車の傷やへこみの板金塗装は、車の状態確認を含め、一度専門の修理業者に見てもらうのが一番安心です。
板金塗装のDIYに失敗するリスク
板金塗装のDIYに失敗すると、車の見栄えが悪くなったり、改めて修理を依頼した場合に補修剤を剥がしたりするなど余分な作業と費用がかかってしまうことがあります。
またDIYのために購入した修理キットの代金や、DIYに要した労力もむだになってしまうこともあります。
小さな傷であればDIYで板金塗装することは可能ですが、板金塗装には高い技能や知識・経験が必要です。
車の安全性にも関わります。
失敗した時のリスクを考えると、板金塗装をDIYで行うことはお勧めできません。
まとめ
板金塗装の費用を安く抑えるには、なるべく早めに見積もりを依頼して、損傷の状態を確認するようにしましょう。
傷が大きくならないうちに板金塗装をするのが価格を安く抑え、修理期間も短くするコツです。
また板金塗装は、ディーラーやカー用品よりも、自動車修理の専門業者の方が価格が安い場合が多いです。
さらに、複数の業者に板金塗装の見積もりを依頼することも、価格を抑えるポイントになります。
また板金塗装のDIYは、成功すれば最も安い費用で板金塗装を行えますが、修理のクオリティや失敗した時のリスクを考えるとお勧めできる方法ではありません。
板金塗装は、専門の修理業者に依頼するのがベストの選択だと言えるでしょう。
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