車の板金塗装って何？やり方や修理代の相場をプロが解説

更新日：2025/09/18 | 公開日：2021/08/13

板金塗装全般

愛車にできてしまった傷やへこみ。「板金塗装」という言葉を耳にしたことはあっても、「一体どんな作業で、費用はいくら？」「修理には何日かかるの？」「もしかして自分で直せる？」など、分からないことだらけで不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

板金塗装は、依頼する業者や損傷の程度によって、費用も期間も、そして仕上がりも大きく変わる、非常に専門的な分野です。

そこでこの記事では、自動車修理のプロフェッショナルが、「板金」という言葉の本当の意味から、具体的な修理工程、損傷別の費用相場、そして後悔しない業者選びのポイントまで、あらゆる疑問にお答えし、あなたの悩みを解決できるよう徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたはもう板金塗装で迷うことはありません。

車の板金塗装とは？言葉の本当の意味からプロが解説

まず、車の修理について知る前に、「板金塗装」という言葉の原点を理解することが、全体像を掴むための第一歩です。

「板金」と「鈑金」- 言葉の本当の意味

実は「板金」とは、もともと自動車専門用語ではありません。金属の板を「切る・曲げる・叩く・溶接する」といった加工を施し、様々な製品を作り出す金属加工技術全般を指す言葉です。 昔ながらの修理工場の看板で「〇〇鈑金」という表記を見たことがあるかもしれません。「板」は木へん、「鈑」は金へんであり、金属加工を指す言葉としては「鈑金」が本来はより正確です。しかし、「鈑」が常用漢字ではないため、現在では「板金」と表記されるのが一般的です。

「板金」「板金塗装」「デントリペア」の明確な違い

自動車業界で使われるこれらの言葉は、似ているようで明確な違いがあります。以下の表でそれぞれの特徴を確認しましょう。

修理方法	対象となる損傷	塗装の有無	特徴
板金	へこみ、歪み、変形	なし	金属パネルの形を元に戻す「作業そのもの」
板金塗装	傷、へこみ、サビ、歪み全般	あり	板金作業と塗装作業を合わせた一連の修理工程
デントリペア	塗装に傷がない小さなへこみ	なし	塗装をせずに特殊工具でへこみを押し出す技術

車の修理では、形を直す「板金」と、色と艶を復元する「塗装」は必ずセットで行われるため、一般的に「板金修理＝板金塗装」と考えて問題ありません。

【DIYかプロか？】メリット・デメリットと判断基準を最初に解説

修理が必要になった時、最初の大きな分かれ道が「自分で直すか、プロに任せるか」です。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の車の状況と照らし合わせて冷静に判断しましょう。

比較項目	DIY（自分で修理）	プロに依頼
費用	◎ 安い（数千円〜）	△ 高い（数万円〜）
仕上がり品質	△ 跡が残る可能性大	◎ 新品同様
時間・手間	× 非常に掛かる	◎ 預けるだけ
失敗リスク	× 高い（悪化させることも）	◎ ほぼ無い

判断の基準は「傷の深さ」と「求めるクオリティ」です。ごく浅い傷で、費用を最優先し、多少の色の違いや跡は気にしないという場合はDIYも選択肢になります。しかし、爪が引っかかるような深い傷や、新車同様の完璧な仕上がりを求める場合は、迷わずプロに依頼するべきです。

自分でできる板金塗装の全手順・費用・注意点

ここでは、DIYで挑戦可能な範囲の修理について、アイテム別に手順を解説します。

ケース1：浅い擦り傷を「コンパウンド」で消す

• 必要な道具：コンパウンドセット（粗目〜極細）、綺麗な布数枚、マスキングテープ
• 費用目安：約2,000円
• 作業手順：
  1. 傷の周辺を綺麗に洗車し、乾燥させる。
  2. 傷の周りをマスキングテープで保護する。
  3. 布に少量のコンパウンド（極細から試す）を付け、傷に沿って優しく直線的に磨く。
  4. 傷が見えなくなったら、別の布で拭き上げて完了。

ケース2：点状の傷を「タッチペン」で補修する

• 必要な道具：ボディカラーに合ったタッチペン、シリコンオフ（脱脂剤）、マスキングテープ、耐水ペーパー、コンパウンド
• 費用目安：約3,000円
• 作業手順：
  1. 傷の周辺を洗浄し、シリコンオフで完全に脱脂する。
  2. 傷の中に塗料を「置く」ように少しずつ塗り、乾燥と重ね塗りを繰り返す。
  3. 1週間ほど完全乾燥後、盛り上がった部分を耐水ペーパーで平らに削る。
  4. 最後にコンパウンドで磨き、艶を合わせて完成。

ケース3：軽いへこみを「パテ」で埋める

• 注意：パテ作業は専門的な技術を要し、失敗するとプロによる再修理費用が高額になるため、安易な挑戦は推奨しません。

【プロの作業】板金塗装の全工程や料金が高い理由も納得

プロの現場では、多くの専門的な工程を経て一台の車が修復されます。料金が高いのには、それだけの理由があります。

1. 外板板金: ドアやフェンダーなど、ボディ表面のパネルのへこみを、裏から叩いたり表から引っ張り出したりして、元の形状に限りなく近づける作業。
2. 内板骨格修正（フレーム修正）: 事故などで歪んだ車の骨格（フレーム）を、専用の修正機でミリ単位で計測しながら修正する、最も高度な技術を要する作業。
3. パネル取替え: 損傷が激しく修復不可能な場合に、パネル全体を新品または中古品に交換する作業。
4. 下地処理・塗装: 板金作業後のパネル表面を完璧に平滑にし、周囲の色と寸分違わぬ色を調合して塗装。ゴミやホコリを遮断した専用ブースで行われます。

【費用相場】パーツ・塗装の種類別！一番安いのはどこ？

プロに依頼する場合の費用は、「どこに頼むか」で大きく変わります。

依頼先	料金の傾向	品質の傾向	特徴
ディーラー	高い	非常に高い	安心感は絶大だが、多くは外注で中間マージンが発生。
カー用品店	やや安い	標準的	手軽に依頼できるが、重度の損傷は断られることも。
板金専門工場	安い	高い（店による）	中間マージンがなく高品質・低価格。技術力の見極めが重要。

板金専門工場を選ぶ際は、技術力の見極めが重要です。本記事で後述する修理事例などを参考に、信頼できる工場を選びましょう。

板金専門工場「池内自動車」のバンパー修理料金例

専門工場に直接依頼した場合の、具体的な料金例をご紹介します。

キズの大きさ	すりキズ・線キズ	ヘコミ（キズなし）	キズ＋ヘコミ
10cm以内	3,300円～	19,800円～	25,300円～
20cm以内	16,500円～	25,300円～	30,800円～
20cm超	23,100円～	30,800円～	39,600円～

※バンパーの補修箇所が1ヶ所の場合 ※金額はすべて税込表示

【修理期間】板金塗装にかかる日数の目安と長引く理由

修理期間は、日常的に車を使用する方にとって重要な問題です。

パーツ・損傷別の修理期間の目安

パーツ	損傷状態	日数の目安
バンパー	軽い擦り傷	1日～2日
ドア	擦り傷	2日～4日
ドア	へこみ傷	4日～7日
フレーム	歪み修正	1週間～

修理が長引く主な要因

• 部品の取り寄せ：特に輸入車や特殊な車種は時間がかかります。
• 保険会社の対応：保険修理の場合、保険会社との協定（金額交渉）に数日かかることがあります。

工場の繁忙期：連休前や降雪後などは工場が混み合い、通常より時間がかかる傾向があります。

【保険】車両保険は使うべき？損得のボーダーラインを解説

車両保険を使えば自己負担なく修理できる場合がありますが、翌年から保険料が上がります。 一般的に、保険を使うと3等級ダウンし、3年間は割増された保険料を支払うことになります。

例えば、修理代が8万円だったとします。保険を使った結果、年間の保険料が3万円上がった場合、3万円×3年間＝9万円となり、結果的に1万円損をする計算になります。 修理代が10万円を超えるような高額なケースでなければ、自己負担で修理した方が経済的である場合が多いです。

【修理事例】価格と品質に自信あり！実際の仕上がりを紹介

言葉だけでは伝わらないプロの仕上がりを、実際の修理事例でご覧ください。

事例1：トヨタ パッソ 左フロントバンパーのすり傷・へこみ修理

• メーカー・車種： トヨタ パッソ
• キズ箇所： バンパーすりキズ・ヘコミ
• 修理期間： 1日
• 対応費用： 38,500円（税込）

お客様のご依頼

新座店にご来店のお客様から、左フロントバンパーに30cm〜40cmのすり傷とへこみができてしまったとご相談をいただきました。

修理内容・結果

損傷状況を確認した結果、左フロントバンパーにすり傷とへこみが見られました。板金修理にて、熟練の作業員が丁寧にへこみを修正し、傷を研磨、塗装を施すことで、元の状態に復元しました。

池内自動車からの一言

フロントバンパーの傷やへこみは、お車の印象を大きく左右するものです。今回の修理では、板金修理でしっかりと対応し、お車の美観を回復させることができました。池内自動車では年間25,000台を超える修理を行っております。修理費用が33,000円を超える場合は、ご自宅までの引取・納車、または代車無料サービスも提供しておりますので、お車の傷、凹みでお困りの際は、お気軽にお近くの店舗までご相談下さい。

事例2：BMW 218i 左リアバンパーのすり傷・線キズ修理

• メーカー・車種： BMW 218i
• キズ箇所： バンパーすりキズ・ヘコミ
• 修理期間： 1日
• 対応費用： 12,100円（税込）

お客様のご依頼

八王子店にご来店のお客様から、左リアバンパーに10cm以内のすり傷と線キズができてしまったとご相談をいただきました。インターネットで車のキズ修理について調べ、当社の実績と費用に魅力を感じてご依頼くださったとのことでした。

修理内容・結果

損傷状況を確認した結果、左リアバンパーは軽微なすり傷と線キズでした。熟練の作業員が部分補修にて丁寧に傷を研磨し、塗装を施すことで、元の状態に復元しました。

池内自動車からの一言

リアバンパーの小さなすり傷も、お車の見た目を損ねてしまうことがあります。輸入車の修理は高額になりがちと思われがちですが、軽微な損傷であれば、費用を抑えて短期間で修理を完了させることが可能です。池内自動車では年間25,000台を超える修理実績があり、お客様の大切な一台を丁寧に修理いたします。お車の傷やへこみでお困りの際は、ぜひお近くの店舗へお気軽にお問い合わせください。 （修理費用が33,000円を超える場合は、ご自宅までの引取・納車、または代車無料サービスも提供しております。）

まとめ：最適な板金塗装は、信頼できるプロ選びから

ここまで、車の板金塗装について、DIYの方法からプロの作業、費用、期間まで、あらゆる角度から解説してきました。

• ごく浅い傷なら、リスクを理解した上でDIYに挑戦するのも一つの選択。
• しかし、確実な仕上がりと安心感を求めるなら、プロへの依頼が最善。
• プロに依頼する際は、ディーラーやカー用品店だけでなく、高品質・低価格な「板金専門工場」も比較検討することが、最も賢い選択です。

あなたの愛車とあなたの状況にとって、最適な解決策は見つかりましたでしょうか。 もし、信頼できるプロの技術を、適正な価格で受けたいとお考えなら、ぜひ一度、この記事を監修した年間25,000台以上の修理実績を誇る池内自動車にご相談ください。透明性の高い料金と確かな技術で、あなたの大切な愛車を元通りにいたします。