アジャスター(損害調査人)とは?立ち会いで何が決まるか、準備しておくこと
更新日:2026/10/25 | 公開日:2026/10/25
事故の連絡をして数日たったころ、保険会社から「アジャスターが車を確認します」と言われる。聞き慣れない言葉なので、何をしに来る人なのか、自分も立ち会わなければいけないのか、戸惑う方は多いはずです。
気になるのは、この確認で修理の中身や金額が左右されるのではないか、という点でしょう。準備が足りずに不利になるのは避けたいところですが、何を準備すればよいのかは案内されないことも多いものです。
板金塗装の見積もりを日々出している修理工場の立場から、アジャスターが一般にどんな役割を担い、立ち会いで何を確かめるのか、お客様と修理工場がそれぞれ何を用意しておくと話が早いのかを整理します。保険会社の運用や契約によって違う部分は、そう書いておきます。
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アジャスターは「損傷の中身と修理費の妥当性」を確かめる担当者
アジャスターは、事故で壊れた車の損害を調べる担当者です。日本語では「損害調査人」「技術アジャスター」などと呼ばれます。損害保険会社の社員であることもあれば、保険会社の依頼を受けた調査会社に所属していることもあります。
一般に、損害保険業界の団体が設けている資格・登録の制度があり、自動車の構造や修理方法についての知識を持つ人がこの仕事にあたります。ただし、どの事故にどういう立場の担当者が出てくるかは、保険会社ごとの体制によって異なります。
役割をひとことで言うと、「この事故でどこがどれだけ壊れ、直すのにいくらかかるのが妥当か」を確かめることです。保険金は修理費をもとに支払われるので、その金額の根拠を保険会社側で押さえておく必要があります。その確認を技術面から担うのがアジャスターです。
事故の担当者とは役割が分かれていることが多い
保険会社には、事故の受付や相手方とのやり取りを担当する人がいます。一般には、過失割合の話し合いや保険金の支払い手続きはこちらの担当者が進め、アジャスターは車の損害の確認に専念する、という分担が多く見られます。
誰に何を聞けばよいかで迷ったら、まず事故の受付をした担当者に聞くのが確実です。アジャスターの連絡先を教えてもらえることもあります。
アジャスターが確認に入るのは、保険金で車を直すとき
アジャスターの確認は、保険を使って車を修理する場面で入るのが一般的です。代表的なのは次の2つです。
- ご自身の車両保険を使って、ご自身の車を直すとき
- 事故の相手方の対物賠償保険で、ご自身の車を直してもらうとき
どちらも、保険会社が修理費を支払う立場になります。そのため、支払う側の保険会社のアジャスターが損害を確認します。もらい事故であれば、相手方の保険会社のアジャスターが来る形です。
逆に、保険を使わず自費で直す場合は、保険会社が損害を確かめる必要がありません。アジャスターが来ることもないのが通常です。保険を使うかどうかをまだ決めていない段階なら、保険を使うか自費で直すかの判断材料を先に読んでおくと、手続きの見通しが立ちやすくなります。
実車を見ずに、写真で確認する場合もある
アジャスターの確認は、必ずしも車の前で行われるとは限りません。損傷が軽い場合などは、修理工場が撮影した写真と見積書をもとに確認を進める方法もとられています。
実車を見るか写真で済ませるかは、損傷の程度や保険会社の運用で決まります。お客様の側から指定するものではないので、「写真でお願いします」と頼めるかどうかは保険会社に確認してください。
立ち会いで確認される4つのこと

立ち会いは、多くの場合、車が入っている修理工場で行われます。アジャスターと修理工場の担当者が同じ車を見ながら、損傷の範囲や直し方をすり合わせます。一般に確認される内容は、大きく4つに分けられます。
1. その傷が今回の事故でついたものか
最初に見るのは、傷やへこみが今回の事故によるものかどうかです。保険金が支払われるのは、事故で生じた損害に限られるのが一般的だからです。
判断の手がかりになるのは、傷の向き・高さ・形です。たとえば、ぶつかった相手の高さと傷の位置が合っているか、こすれた向きが事故の状況と矛盾しないか、といった点を見ます。錆が出ている古い傷や、塗装の色あせの具合が違う傷は、以前からあったものとして区別されることがあります。
2. どの部品をどこまで直すか
次に、損傷の範囲を確かめます。外から見えるパネルだけでなく、その奥の部品に影響が及んでいないかも確認の対象です。
後ろから追突された車であれば、バンパーの内側にある補強材や、車体の骨格に近い部分まで見ることがあります。骨格に関わる損傷があるかどうかは、中古車として売るときの「修復歴」の判定にもつながります。部位ごとの線引きは修復歴になる部位とならない部位にまとめています。
3. 板金で直すか、部品を交換するか
同じへこみでも、形を戻して塗り直す方法と、部品ごと取り替える方法があります。どちらを選ぶかで金額が大きく変わるため、立ち会いで話し合われることの多い部分です。
一般には、直して元の状態に戻せるなら修理、戻すのが難しいほど傷んでいるなら交換、という考え方がとられます。金属が鋭く折れている、樹脂が割れて欠けている、といった状態は交換の候補になります。どこで線を引くかは車の状態によるため、修理工場とアジャスターの見立てが最初から一致するとは限りません。
4. 見積もりの金額が内容に見合っているか
最後に、修理工場の見積書が、確認した損傷と直し方に見合っているかを確かめます。部品の値段、作業の手間、塗装の範囲などが、項目ごとに見られます。
修理内容と金額について、修理工場と保険会社が合意することを「協定」と呼びます。協定がどういう手順・基準で進むかは、保険会社や修理工場によって異なります。お客様が細部まで理解しておく必要はありませんが、「修理の中身と金額は、工場と保険会社のあいだで決まっていく」という流れは知っておくと安心です。
お客様の同席は、必要とされないことが多い
アジャスターと聞くと、自分も立ち会わなければならないと思う方が多いのですが、一般的には車を預けた修理工場とアジャスターのあいだで確認が進みます。お客様が同席しないまま終わることも珍しくありません。
同席を求められるかどうかは、保険会社や事故の内容によって違います。平日の日中に時間を取るのが難しい方は、事故の受付をした担当者に、同席の要否を先に確かめておくと予定が立てやすくなります。
同席しなくても、伝えておくべきことはある
同席しない場合でも、事故の状況をいちばんよく知っているのは運転していたご本人です。どの向きから、どのくらいの速さで、何に当たったのか。これが分かっていると、傷が今回の事故によるものかどうかを判断しやすくなります。
状況は、事故の受付のときに保険会社へ伝えているはずです。そのうえで、車を預けるときに修理工場にも同じ内容を伝えておくと、立ち会いで話が食い違いにくくなります。
立ち会いの前に、お客様が準備しておくこと
準備といっても、特別な書類を集める必要はありません。次の5つがそろっていれば、手続きは進めやすくなります。
1. 事故直後の写真
事故の現場で撮った写真があれば、捨てずに残しておいてください。傷の全体と近くから撮ったもの、相手の車や壁・柱など当たった物の写真があると、事故の状況を説明する材料になります。
現場で撮れなかった場合も、修理に出す前に自分の車の傷を撮っておくと役に立ちます。車の前後左右が分かる引きの写真と、傷に寄った写真の両方を撮っておくのがおすすめです。
2. 事故の受付番号と担当者の連絡先
保険会社に事故を連絡すると、事故の受付番号と担当者が決まります。修理工場が保険会社とやり取りするときに必要になるので、メモしておいてください。もらい事故の場合は、相手方の保険会社名と担当者の連絡先も控えておきます。
3. 以前からある傷の場所
事故と関係のない古い傷があるなら、正直に伝えておくのがいちばんです。黙っていても、立ち会いで区別されることが多いからです。先に伝えておけば、「どこまでが今回の事故の分か」の話が早く片づきます。
古い傷をこの機会に一緒に直したい場合は、保険とは別に見積もりを分けて出してもらう形になるのが一般的です。この扱いは後の項で詳しく書きます。
4. 修理を任せる工場を決めておく
アジャスターの確認は、車が入っている工場で行われます。どこに修理を頼むかが決まらないと、確認の日程も決まりません。
修理工場は、原則としてお客様がご自身で選べます。保険会社から工場を紹介されることもありますが、紹介を受けるかどうかは任意です。ディーラーと板金専門店のどちらに頼むかで迷っている方は、もらい事故の修理をディーラー以外に頼む場合の比較も参考にしてください。
5. 車内の荷物を下ろしておく
損傷が荷室やドアの内側に及んでいる場合、確認や分解のために内張りを外すことがあります。荷物が積んだままだと作業が止まるので、預ける前に下ろしておくと当日の段取りがスムーズです。
修理工場の側で準備すること
立ち会いの中身は、修理工場の準備でも変わります。お客様が工場を選ぶときの目安にもなるので、一般的に工場側が用意するものを挙げておきます。
- 損傷の範囲と直し方を書いた見積書
- 損傷の全体と細部の写真(写真で確認する場合に使われる)
- 奥の部品まで確かめる必要があるときの、分解の段取り
- 以前からある傷と今回の傷を分けたメモ
大事なのは、見積書の内容を工場の担当者が自分の言葉で説明できることです。なぜ交換ではなく修理なのか、なぜこの範囲まで塗るのか。その理由を示せれば、アジャスターとのすり合わせは短く済みます。
逆に、説明が曖昧なまま出された見積もりは、立ち会いで何度もやり取りが発生しがちです。修理の日程が後ろにずれる原因にもなります。
立ち会いのあとで起こりうること
立ち会いが終われば、あとは修理を待つだけ、とは限りません。よくある展開を3つ挙げます。
分解してから、見えなかった損傷が見つかる
外から見える範囲だけでは、奥の部品の状態は分かりません。バンパーや内張りを外してみて、補強材の曲がりやブラケットの割れが見つかることがあります。
この場合は、修理工場から保険会社へ追加の損傷として連絡し、改めて確認を受ける流れが一般的です。写真で済むこともあれば、もう一度アジャスターが見に来ることもあります。修理の日数が延びることがあるので、急ぎの方は工場に見通しを聞いておいてください。
見積もりと、保険会社が妥当とする金額に差が出る
修理工場の見立てと保険会社の見立てが違えば、金額に差が出ます。多くの場合は工場と保険会社のあいだで話し合いが行われ、お客様が交渉の場に立つことはあまりありません。
ただし、差が埋まらないまま決まった場合に、差額を誰が負担するかは状況によります。車両保険なのか相手方の対物賠償なのか、契約内容はどうか、で扱いが変わります。気になる場合は、修理に入る前に保険会社の担当者に確認してください。
修理費が車の価値を上回る
損傷が大きいと、修理費が車の時価額を上回ることがあります。時価額は、同じ年式・型式の車の市場価格をもとに算定されます。この場合、保険金の上限が時価額までになる契約があり、修理するか買い替えるかの判断が必要になります。
相手方がいる事故で、この差額を補う特約が付いていることもあります。仕組みは事故の修理代と保険の基本で解説しています。どの特約がどこまで使えるかは契約によって異なるので、ご自身の保険証券か担当者で確認してください。
事故と関係のない傷を、ついでに直したいとき
入庫したついでに、以前からある小さな擦り傷も直したい。修理工場ではよくある相談です。
一般に、保険金の対象になるのは今回の事故で生じた損傷だけです。古い傷は保険の見積もりには含められず、自費の修理として別に見積もるのが通常の扱いです。保険の見積もりに混ぜて出してもらう、という頼み方はしないでください。
分けて見積もってもらえば、自費の分がいくらかははっきりします。当社の料金は部位と大きさで決まっており、バンパー等の樹脂パーツのすり傷(10cm以内)なら3,300円〜(税込)、ドア・フェンダー等の鉄板パーツのすり傷(10cm以内)なら25,000円〜(税込)が目安です。部位ごとの金額は修理料金の一覧表で確かめられます。
どちらの金額もクリア塗装までの浅い傷が対象で、塗装が剥がれて下地が見えているえぐれ傷は別料金です。車種やボディカラーによる割増はありません。事故の修理と同じタイミングで直せば、車を預ける回数も1回で済みます。
保険を使うかどうかは、自費の金額を知ってから決めても遅くない
アジャスターの確認は、保険を使うと決めたあとの手続きです。保険を使えば、翌年以降の保険料や等級に影響が出ることがあります。どのくらい影響するかは契約によって違うため、使うかどうかはご自身の契約内容と照らして決める必要があります。
判断の材料として役に立つのが、自費で直した場合の金額です。修理費が分かれば、保険を使ったときの負担と比べられます。等級が下がる仕組みは保険を使うと等級がどう変わるか、免責金額のある契約での考え方は免責金額と保険料の関係で整理しています。
どちらが得かの結論は、契約の中身で変わります。当社から「使ったほうが得です」とは申し上げません。金額を並べて、ご自身で決めていただくための材料をお出しする立場です。車両保険そのものの考え方は車の修理代に車両保険を使うかどうかも参考にしてください。
よくある質問
Q. アジャスターに修理工場を指定されることはありますか
保険会社から工場を紹介されることはありますが、修理工場は原則としてお客様がご自身で選べます。すでに頼みたい工場が決まっているなら、その旨を保険会社の担当者に伝えてください。
Q. アジャスターの判断に納得できないときはどうすればよいですか
まず修理工場に、何が認められて何が認められなかったのかを確認してください。そのうえで、事故の受付をした保険会社の担当者に相談する流れになります。事故直後の写真など、状況を示す材料があると話が進めやすくなります。
Q. 当て逃げで相手が分からない場合も、アジャスターは来ますか
ご自身の車両保険を使って直すのであれば、その保険会社が損害を確認します。当て逃げで車両保険が使えるかどうかは契約の種類によって異なります。気づいたあとの対応は当て逃げに気づいたときの対処にまとめています。
Q. 立ち会いの前に修理を始めてもよいですか
保険を使う予定なら、保険会社の確認が済む前に修理を始めるのは避けてください。直したあとでは、損傷の範囲を確かめられなくなるためです。急ぐ事情がある場合は、事前に保険会社へ相談しておきます。
Q. 保険を使う修理中の代車はどうなりますか
保険の特約で代車の費用が補償される契約もあれば、そうでない契約もあります。修理工場が用意する代車を使う場合は、条件を工場の窓口で確かめてください。当社の代車の条件は、この次の項で触れています。
池内自動車の板金塗装について
池内自動車は、ボディの板金塗装に専門を絞っている修理チェーンです。全国35店舗で、年間39,000台以上の修理を扱っています。
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まとめ:立ち会いの前に、写真と古い傷の場所を整理しておく
アジャスターは、事故による損傷の範囲と修理費の妥当性を確かめる担当者です。確認は修理工場で進むことが多く、お客様が同席しなくても手続きは進められます。
いま準備しておくと役に立つのは、次の3つです。事故直後の写真を消さずに残す。事故の受付番号と担当者の連絡先を控える。以前からある傷の場所を、預ける工場に伝える。これだけで、立ち会いでのすり合わせは短くなります。
保険を使うか迷っている段階なら、先に自費の金額を確かめてください。写真を送って修理費用を確かめるところから始めれば、保険を使ったときの負担と並べて比べられます。仕上がりの様子はこれまでの修理事例でご覧いただけます。
あ、キズ直そ。写真を送るだけ、60秒でお見積もりします。
読んだ内容で迷ったら、
写真を1枚送ってみてください。
傷の程度は写真を見れば判断できます。入力は60秒、回答は原則10分以内。
修理は最短当日で仕上がります。ご来店での見積もりも無料です。
※バンパーのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)/20cm以内 6,000円〜(税込)
日守翔吾
大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。
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