ホイールハウス内側の傷と錆はどう直す?タイヤの上のボディを見るポイントと修理の考え方
更新日:2026/10/30 | 公開日:2026/10/30
タイヤ交換のときや洗車でしゃがんだとき、タイヤの上のすき間をのぞいて、茶色い錆や塗装のはがれに気づく。普段は目に入らない場所だけに、いつからそうなっていたのかも分かりません。
困るのは、そこが「直すべき場所なのか」「どこに頼めばいいのか」がはっきりしないことです。ホイールの傷とも、車の下回りの錆とも少し違います。放っておいて広がるものなのか、見た目だけの話なのかも判断しにくいところです。
板金塗装を扱っている立場から、ホイールハウス内側のボディにできる傷と錆についてお伝えします。見るべき場所、錆の進み具合ごとの直し方、費用の決まり方の順です。実車を見ないと決まらない部分は、そう書きます。
その傷、いくらで直るか
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ホイールハウスの「ボディ側」は、鉄板のアーチと樹脂のライナーに分かれる
ホイールハウス(タイヤハウス)は、タイヤが収まっている車体のくぼみです。タイヤの上をぐるりと囲うように、半円形の空間ができています。
この空間を囲む壁は、大きく2つの部品でできています。1つは車体そのものの鉄板で、フェンダーのふち(アーチ)から内側へ折り返された部分です。もう1つは、その鉄板を泥や小石から守るために内側に取り付けられた樹脂のカバーで、インナーライナーやフェンダーライナーと呼ばれます。
車種によっては、前輪のアーチの前側がバンパーの端で囲われていることもあります。この場合、アーチのふちの一部は鉄板ではなく樹脂です。同じ「ホイールハウスの傷」でも、どの部品にできたかで直し方と費用の出発点が変わります。
この記事で扱うのは、タイヤの上にあるボディ側の部品です。ホイールそのものの擦り傷は別の話題で、アルミホイールのガリ傷の修理費用にまとめています。ホイールやタイヤの修理は、それぞれを扱う業者の領域です。当社はボディの板金塗装に専門を絞っているため、ここではボディ側に話を限ります。
タイヤの真上は、車の中でもとくに傷と錆がつきやすい
ホイールハウスの内側は、走っている間ずっとタイヤが巻き上げるものを受け止めています。外から見えないだけで、ボディの中でも条件の厳しい場所です。
小石や砂利がぶつかり続ける
タイヤは路面の小石を拾い、回転の勢いで上へはじきます。その先にあるのがアーチの内側です。一度の衝撃は小さくても、何年も走るうちに塗装の表面が少しずつ欠けていきます。砂利道や工事区間をよく通る車ほど、この欠けは増えます。
飛び石は前の車からボンネットやフロントガラスに飛んでくるものが知られています。ただ、自分のタイヤがはじいた石も、同じようにボディの塗装を少しずつ傷つけます。飛び石の傷全般への対処は飛び石で車に傷がついたときの対処法で整理しています。
泥がたまって乾きにくい
雨の日に巻き上げた泥は、アーチの折り返しやライナーとのすき間にたまります。泥は水分を抱えたまま乾きにくく、鉄板が湿った状態が長く続きます。塗装が欠けた部分に湿った泥が貼りついていれば、錆が進む条件がそろってしまいます。
冬の道路の塩分が残る
雪の多い地域では、路面にまかれた融雪剤がタイヤで巻き上げられ、ホイールハウスの中に付着します。融雪剤に含まれる塩分は鉄の錆を早めます。冬の間に付いた塩分が春まで残っていると、その分だけ錆が進みやすくなります。融雪剤そのものの性質と洗い方は融雪剤で車が錆びる原因と対策を見てください。
アーチのふちを擦る
タイヤ止めや縁石に寄せすぎて、アーチのふちを擦ることもあります。タイヤを大きなものに替えた車では、段差を越えたときやハンドルを大きく切ったときに、タイヤがアーチの内側に当たることがあります。擦れた跡は塗装が削れていることが多く、錆の入り口になります。
錆はアーチの「ふち」と「奥」から始まる
ホイールハウスの錆は、どこにでも均一に出るわけではありません。出やすい場所が2つあります。
1つ目は、アーチのふちの折り返しです。フェンダーの外板は、ふちで内側へ折り返されています。この折り返しの内側は泥と水がたまりやすく、塗装も薄くなりがちな場所です。
ここで始まった錆は、内側から外へ向かって進みます。そのため、外から見て「アーチのふちの塗装がぷっくり膨れている」と気づいたときには、内側ではすでに錆が広がっていることがよくあります。外の膨れは、内側の錆が表に出てきた合図です。
2つ目は、ライナーで隠れた奥の鉄板です。ライナーは鉄板を守る役目がありますが、ライナーと鉄板のすき間に泥や塩分が入り込むと、かえって乾きにくい空間になります。ライナーを外して初めて錆が見つかる、ということも珍しくありません。
鉄の錆は、水と空気に触れている限り止まりません。塗装の欠けが小さいうちは表面だけで済みますが、進むと鉄板の厚みそのものを食っていきます。修理した箇所が後から錆びる仕組みは修理した箇所が数年後に錆びる理由で説明しています。ホイールハウスの錆も同じで、下地の金属で起きていることが表に出るまでに時間差があります。
自分で見るときの手順
ホイールハウスの中は、少し工夫すると自分でもある程度確かめられます。特別な道具は要りません。
1. ハンドルを切って前輪の奥をのぞく
前輪は、エンジンをかけてハンドルを左右どちらかへいっぱいに切ると、タイヤの後ろ側に大きなすき間ができます。そこからアーチの内側を見上げると、奥のほうまで目が届きます。エンジンを止めて、パーキングブレーキをかけた状態でのぞいてください。
後輪はハンドルで動かないので、タイヤとアーチのすき間から見える範囲に限られます。スマートフォンのライトで照らしながら、カメラを差し入れて撮影すると見やすくなります。
2. 泥を流してから見る
泥が付いたままだと、錆なのか泥の色なのか見分けがつきません。ホースの水で軽く流してから確かめます。高圧の水を至近距離から当てると、傷んだ塗装をはがしてしまうことがあるので、離れた位置から当てる程度にとどめます。
3. アーチのふちの外側をなでる
外から見える範囲では、アーチのふちを指でなぞってみます。塗装の下に小さなこぶのような膨らみがある、ふちの塗装に細かいひびが入っている。こうした手ざわりがあれば、内側の折り返しで錆が進んでいる可能性があります。
4. ライナーの留め具と端を確かめる
ライナーは樹脂のクリップやねじで留まっています。留め具が外れて端が垂れ下がっていないか、割れて欠けていないかを見ます。ライナーの裏側の鉄板は、ライナーを外さないと見えません。ここは無理に外さず、修理や点検のときに確認してもらうほうが安全です。
確かめた結果、茶色い点や塗装の膨れが見つかったら、その写真がそのまま見積もりの材料になります。前輪ならハンドルを切った状態で1枚、アーチ全体が入るように少し離れて1枚撮っておくと、状態が伝わりやすくなります。
鉄板のアーチは、錆を落として塗り直す
アーチの内側や折り返しにできた傷と錆は、ボディの鉄板の損傷なので、板金塗装で直します。作業の流れは、ほかの鉄板パネルの錆修理と大きくは変わりません。
最初に、錆びた塗膜と錆そのものを削り落とします。錆を残したまま上から塗ると、塗装の下で錆が進み続けるためです。鉄板が出た状態になったら、錆を抑えて塗料の密着をよくするための下地処理を行います。そのうえで塗装を重ね、乾燥設備(ヒーター等)で乾かして仕上げます。
塗装の前の下地づくりがなぜ大事かは、塗装前の下地処理の重要性で詳しく解説しています。
見える場所と見えない場所で、仕上げの考え方が違う
アーチのふちの外側は、人の目に入る場所です。周りのボディと色がそろっていないと目立つので、テスト板で色を確かめてから塗ります。日焼けなどで周りとの色の差が出るときは、ぼかし塗装で周囲となじませます。
奥の内側は、タイヤを外さなければ見えない場所です。ここで大切なのは、錆を取り除いて塗装でふたをし、鉄板を水と空気から守り直すことです。
どちらの場所も、直したあとにご覧になって「ちゃんと直っている」と納得していただけることが前提です。そのうえで当社は、必要以上に手をかけて仕上がりを追い込むことはしません。錆を落として塗り直し、見て直っていると分かる状態まで仕上げる。この線引きをしているから、早く安く直せます。
樹脂のライナーは、直すより替える
インナーライナーが割れた、ちぎれた、走っていたら垂れ下がってきた。こうしたライナーの損傷は、板金塗装では直しません。樹脂の部品として交換で対応します。
ライナーは比較的安価な部品で、割れを補修して使い続けるより、替えたほうが確実で手間もかかりません。新品のほか、中古の部品を使って費用を抑える選択肢もあります。ただし部品が手に入るかどうかは車種と年式によるので、在庫や届く日はお約束できません。見積もりの段階でお伝えします。
ライナーの端が垂れて走行中にタイヤと擦れている場合は、早めに対処してください。擦れが続くと、ライナーがさらに裂けたり、外れた破片が飛んだりすることがあります。
ライナーを外したときに、奥の鉄板に錆が見つかることもあります。その場合は、ライナーの交換と鉄板の錆の処置を一緒に行うかどうかを、状態を見て相談しながら決めます。別々に入庫するより、一度で済ませたほうが手間は少なくなります。
錆の進み具合で、作業の範囲は変わる

同じ「錆」でも、どこまで進んでいるかで必要な作業は大きく違います。目安として、3つの段階に分けて考えると分かりやすくなります。
表面に茶色い点が出ている段階
塗装が小さく欠けて、そこから点状に錆が出ている状態です。錆はまだ鉄板の表面にとどまっていることが多く、削り落として塗り直す範囲も小さく済みます。費用と日数を抑えられるのはこの段階です。
塗装が膨れている段階
アーチのふちの塗装がぷっくり膨れていたり、はがれかけていたりする状態です。塗装の下で錆が広がっているので、見えている膨れより広い範囲を削ることになります。どこまで削るかは、塗装をはがしてみて錆の広がりを確かめながら決めます。
鉄板に穴が開いている段階
錆が鉄板を貫通して、穴が開いたりぼろぼろと崩れたりしている状態です。ここまで進むと、塗り直すだけでは直りません。傷んだ部分を補修するか、パネルごと交換するかを、実車を見て判断します。
前輪側のフェンダーはボルトで留まった部品なので、交換という選択肢が取りやすい部位です。フェンダーの錆の修理を業者に頼む場合と自分で処置する場合の違いは、フェンダーの錆修理を業者とDIYで比べた記事にまとめています。
後輪側は事情が違います。後輪のアーチは、多くの車でクォーターパネルという車体と一体になったパネルの一部です。交換するには切り離して溶接する作業になり、作業できる店舗の確認が必要になる場合があります。後輪側の損傷の考え方はリアフェンダーの擦り傷・へこみの修理も参考になります。
いずれにしても、穴が開く前に手を打てば、作業の範囲は小さくて済みます。茶色い点や膨れの段階で見つけられたなら、それは費用を抑えられる時期に気づけたということです。
下回り全体の防錆とは分けて考える
ホイールハウスの錆を調べていると、下回りの防錆処理やアンダーコートの情報にも行き当たります。両者は近い場所の話ですが、目的が違います。
この記事で扱っているのは、すでにできた傷と錆を、ボディの修理として直すことです。錆びた塗膜を落とし、下地を整えて塗り直す作業は、板金塗装の一環として行います。
一方、下回り全体にアンダーコートを施工して錆を予防する作業は、防錆を専門に扱う施工店の領域です。施工の範囲や使う材料によって内容が変わるので、検討するときは依頼先に、どこまでを施工するのかを確認しておくと安心です。
車の底面やフロアの錆の見方は下回り・フロアパネルの錆の点検手順で、海沿いの地域での錆対策は塩害から車を守る対策で解説しています。ホイールハウスのボディ側を直したうえで、予防として何をするかを考える順番がおすすめです。
修理費用は「どの部品か」と「錆がどこまで進んでいるか」で決まる
ホイールハウスまわりの修理費用は、部品の素材と損傷の範囲で出発点が決まります。
アーチのふちの外側に見える傷
フェンダーのふちの、外から見える部分にできたすり傷は、ドア・フェンダー等の鉄板パーツの料金で考えます。当社の料金表では、鉄板パーツのすり傷は10cm以内で25,000円〜(税込)です。20cm以内は37,000円〜(税込)、20cm以上は46,000円〜(税込)になります。
前輪のアーチの前側がバンパーで囲われている車なら、その部分は樹脂パーツです。バンパー等の樹脂パーツのすり傷は、10cm以内で3,300円〜(税込)から受けています。この金額は塗装の表面のクリア層までの浅い傷が対象で、下地の樹脂が見えているえぐれ傷は別料金になります。
車種やボディカラーによる割増はありません。輸入車でも、パールやメタリックでも同じ料金表を使います。部位と損傷ごとの金額は部位別の修理料金の一覧で確認できます。
内側の錆とライナーの交換
アーチの奥にできた錆は、どこまで広がっているかで削る範囲が大きく変わります。写真や実車で状態を見てから金額をお伝えします。ライナーの交換も、車種ごとの部品代が関わるため、見積もりで個別にご案内します。
左右や前後をまとめて直すとき
ホイールハウスの錆は、片側だけでなく左右に同じように出ていることがよくあります。鉄板パネルを2枚以上同時に修理する場合はセット割引が使え、樹脂部品と交換部品を除いた合計額から最大10%を差し引きます。片側を直すついでに、反対側も見てもらうと判断がしやすくなります。
直すタイミングは「点のうち」がいちばん軽い
ホイールハウスの錆は、外から見えにくいぶん、気づいたときにはある程度進んでいることが多い場所です。だからこそ、茶色い点を見つけた段階で動くのがいちばん負担の少ない選択になります。
塗装の範囲で収まる傷や小さな錆であれば、最短当日で仕上がります。損傷の状態によって当日で終わるものから7日ほどかかるものまであり、平均すると3〜4日です。錆が膨れや穴の段階まで進むと、削る範囲や交換の判断が加わるので、その分だけ日数も費用も増えていきます。
タイヤ交換や車検のタイミングは、ホイールハウスの中を見るよい機会です。タイヤを外したときに中をのぞいてもらうだけでも、錆の早期発見につながります。傷を放置したときに錆がどう進むかは、車の傷を放置するとサビになる仕組みで解説しています。
気になる箇所の写真が撮れたら、ホイールハウスの錆の写真を送って見積もりを取るところから始めるのが早い進め方です。
よくある質問
Q. 市販の錆止めスプレーを自分で吹いておけば大丈夫ですか
錆の上から吹きつけるだけでは、塗膜の下で錆が進み続けることがあります。応急的に水や泥から守る効果はありますが、根本の処置は錆を落としてから塗り直すことです。スプレーを吹く前に一度状態を見てもらうと、どこまで進んでいるかが分かります。
Q. ライナーが少し垂れているだけでも、すぐ直したほうがいいですか
走行中にタイヤと擦れる位置まで垂れているなら、早めの対処をおすすめします。擦れが続くと裂けが広がり、破片が外れることもあるためです。留め具が外れただけなら軽い作業で済むこともあるので、まずは状態を見せてください。
Q. 外から見て何ともなければ、内側は気にしなくていいですか
外から見えないうちに内側で錆が進んでいることがあるので、外見だけでは判断できません。雪国を走る車や、砂利道をよく通る車は、年に一度ほどタイヤ交換などの機会に中を確かめておくと安心です。
Q. 見積もりのときは、どんな写真を送ればいいですか
前輪はハンドルを切った状態でアーチの内側を1枚、アーチ全体が入るように少し離れて1枚あると状態が伝わりやすくなります。後輪はタイヤとアーチのすき間から、ライトで照らして撮ってください。写真で判断しきれない場合は、ご来店いただいて実車で確認します。
池内自動車の板金塗装について
池内自動車は、全国36店舗で板金塗装を行っている修理チェーンで、年間39,000台以上の修理を受けています。全店が年中無休で、夜20時まで営業しています。
見積もりは写真を送るだけで、所要時間は60秒です。オンライン見積もりの回答は原則10分以内で、超えた場合は1,000円オフにしています。見積もりのあとに修理をお断りいただいても、キャンセル料はかかりません。無理な営業もしていないので、まずは今の状態を知るためだけに使っていただいて構いません。
修理工賃(部品代を除く作業費用)が税込50,000円以上の場合は、無料の引き取り・納車か、代車の無料貸し出しのどちらか一方を利用できます。錆の範囲が広く作業が大きくなりそうなときは、この条件もあわせて確認してください。
どの程度まで戻るのかは、フェンダーなど部位ごとの修理事例の写真と費用で確かめられます。似た損傷の事例を探してみてください。
まとめ:茶色い点を見つけたら、広がる前に写真で相談を
ホイールハウスの内側は、小石と泥と塩分にさらされ続ける場所で、外から見えないうちに錆が進みます。アーチのふちに膨れが出ていたら、内側ではもう少し先まで進んでいると考えてください。
次にすることは、ハンドルを切って前輪の奥をのぞき、気になる箇所を写真に撮ることです。鉄板の部分なのか、樹脂のライナーなのか、ご自分で見分けがつかなくても問題ありません。写真があれば、直し方と費用の見当をお伝えできます。
点の段階で見つけた錆は、削る範囲も日数も小さく済みます。タイヤ交換のついでに中をのぞく習慣をつけておくと、次に見つけたときも慌てずに済みます。
あ、キズ直そ。写真を送るだけ、60秒でお見積もりします。
読んだ内容で迷ったら、
写真を1枚送ってみてください。
傷の程度は写真を見れば判断できます。入力は60秒、回答は原則10分以内。
修理は最短当日で仕上がります。ご来店での見積もりも無料です。
※バンパーのすり傷(10cm以内)3,300円〜(税込)/20cm以内 6,000円〜(税込)
日守翔吾
大手中古車販売店で7年ほど経験を積んだ後、板金塗装に従事。工場長の経験を経て、2022年に株式会社イケウチに入社。豊富な経験を持ち、板金塗装を中心とした自動車修理業界に精通している。これまでに10,000台以上の車両修理を監修し、お客様からの信頼も厚い。
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